2014年11月
(調査報告書)中間報告書 我が国の研究費制度に関する基礎的・俯瞰的検討に向けて ~論点整理と中間報告~/CRDS-FY2014-RR-03
エグゼクティブサマリー

 我が国の大学・独立行政法人等の研究開発を支える公的資金制度は、最近20年間ほどの間に大きな構造的変化を遂げてきた。大学等における教育研究活動を継続的・安定的に支えてきた基盤的経費の伸びは停滞し、特に国立大学については2004年の法人化以降、継続的に削減されてきた。一方、競争的資金については1996年に閣議決定された第一期の科学技術基本計画においてその拡充方針が明記され、2000年代前半まで急激に拡大した。また、2001年の第二期科学技術基本計画策定以降、特定の研究分野・領域への重点投資が始まるとともに競争的資金の多様化が進み、従来では考えられなかった大規模な資金支援の制度も生まれた。この間、研究費制度に係る様々な改革の提案がなされ、実行されてきた。特に2001年以降は間接経費の導入、プログラム・ディレクター(PD)/プログラム・オフィサー(PO)の配置促進、独立したファンディング・エージェンシー体制の整備、科学研究費補助金(科研費)の基金化等、重要な取組みが進められてきた。また、未だ実現してはいないが競争的資金への年複数回申請や科研費の更新制の導入等を検討すべきといった提案もなされ、評価の実効性向上・評価体制の強化や府省を越えたシームレスな制度の構築といった事項にも継続的に取組みがなされてきている。

 こうした改革を経て我が国において競争的資金制度は一定程度熟し、研究現場における競争的環境の形成も促進され、そのような変化を通じて優れた研究成果も創出されてきた。一方で、近年研究機関間・研究者間の国際競争がますます激化する中、世界大学ランキングにおける我が国の大学の位置や、論文数等の定量的指標に表れる我が国の研究パフォーマンス状況に関して広く懸念が示されるようになり、このため最近あらためて我が国の研究費制度の全体的枠組みに対する問題提起が各方面からなされている。すなわち、我が国の科学技術の現状に関する危機感を背景として、公的研究費制度全体の基礎的な枠組みを再検討することが、我が国の科学技術イノベーション政策における重要課題の一つとして浮上してきたのである。

 後述するように、直近2年ほどの間に関係各機関により我が国の研究費制度の抜本的な改革の推進に関する提言等が出されている。JST研究開発戦略センター(CRDS)でも2013年度より研究費制度の基礎的改革に向けた検討を進めてきた。CRDSによる検討の基本的な考え方は、我が国においてこれまで分けて議論されがちであった高等教育予算と科学技術予算を合わせて俯瞰することにより、総合的な視点からみて費用対効果の高い、合理的な研究費制度の枠組みを構築するというものである。本中間報告書では、これまでの検討で一定の妥当性があると考えられたいくつかの改革方策の考え方を記述する。

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