2010年9月
(調査報告書)エビデンスに基づく政策形成のための「科学技術イノベーション政策の科学」構築 ~政策提言に向けて~/CRDS-FY2010-RR-03
エグゼクティブサマリー

 科学技術イノベーション活動を取り巻く社会・経済の急激な構造変化とその対応のための新たなガバナンスが期待されている。このようななか、エビデンス(科学的根拠)に基づく科学技術イノベーション政策形成へのニーズが高まっており、諸外国での取組が始まっている。
 エビデンスに基づく政策形成は、エビデンスに基づく複数の政策メニューが意志決定者に提示されることにより、意志決定の質を可能なかぎり科学的な客観性を持つものとすること、また透明性を高めることを目指している。さらに、政策形成の際に社会と対話し、政策の説明責任を果たしていくための議論のツール・共通言語としても、体系化されたエビデンスの蓄積の重要性がますます高まっている。
 そのため、経済・社会の構造とダイナミズムの分析に根ざして顕在的・潜在的な解決すべき課題を検出すること、さらに科学技術に対する国民の社会的期待や科学技術の現状・潜在的可能性を把握することが必要となる。これにより、社会との対話を進めながら、科学技術を発展させ、効果的かつ効率的に課題を解決しイノベーションを創出するためのエビデンスに基づく政策の実現に貢献するための「科学技術イノベーション政策の科学」の発展が期待されている。
 「科学技術イノベーション政策の科学」は、科学的方法論の開発と提示で終わらずに、その成果が政策形成の実践の場で活用できるものでなくてはならない。さらに、「科学技術イノベーション政策の科学」の成果は、既存政策の正当化のために用いられるのではなく、科学的な推論に基づいて政策形成をエビデンスに基づくものに進化させることに意義がある。
 エビデンスを作成する科学コミュニティと、政策形成に携わる政治・行政は、この目的を共有し、それぞれの責務を果たしながら協働していく必要があり、そのためのメカニズムを作り、運用していくことが重要である。

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