2016年5月
(国際比較調査)G-TeC報告書 世界の宇宙技術力比較(2015年度)/CRDS-FY2016-CR-01
エグゼクティブサマリー

 本調査はJST/CRDSが実施する宇宙分野のG-TeCの3回目であり、これまでに2011年と2013年に同様の調査を行っている。
 前回調査後2年が経過し、今回の評価に資するため、2014年と2015年のロケット・衛星の打上げ実績をまとめた。この2年間に全世界で合計179回のロケット打上げがあり、36カ国と5機関から通信放送衛星、地球観測衛星、航行測位衛星、宇宙科学衛星、有人宇宙船など計472機の衛星が軌道に投入された。
 179回のロケット打上げの中で、ロシアの「プロトン」ロケットと米国の「アンタレス」ロケット及び「ファルコン」ロケットの打上げ失敗、ロシアの「ソユーズ」ロケットの3回の軌道投入失敗など計8件の不具合があった。
 衛星打上げは全般的に順調に行われ、宇宙応用分野では通信放送衛星・地球観測衛星・航行測位衛星が294機、宇宙科学関連の分野では天文観測衛星などが8機、有人宇宙飛行の分野では有人宇宙船や物資輸送船が26機打ち上げられた。その他、技術試験衛星およびAIS衛星が144機あり、この期間の年間平均の衛星打上げ数としては2013年を28機上回った。
 国際宇宙ステーション(ISS)の物資輸送では、米国のオービタル・サイエンシズ社(現オービタルATK社)の物資輸送船「シグナス」が2014年10月にアンタレスロケットの主エンジンの不具合で打上げに失敗し、次号機は2015年12月にアトラスロケットを用いて打ち上げられた。スペースX社の物資輸送船「ドラゴン」は2015年6月の打上げに失敗した。またロシアの物資輸送船「プログレス」は2015年5月にロケットからの分離時に損傷し、物資輸送ミッションを達成できなかった。一方、日本が2015年に打ち上げた「こうのとり5号機」は緊急物資を含め国際宇宙ステーションへの重要な輸送を担ったことにより高い評価を得た。
 この2年間の世界の宇宙開発・利用活動の中で、最も注目すべき動きは、米国のスペースX社が2015年12月に再使用型の「ファルコン9」ロケットで衛星11機を搭載した第2段を切り離した後、第1段を発射場所であるケープカナベラル空軍基地に直立した状態で機体を損傷することなく着陸することに成功したことである。同社は2016年に20回以上の打上げを予定しており、再使用型ロケットが多用される見込みである。

 今回の調査では、2014年-2015年の各国の宇宙活動を踏まえて、前回調査結果の見直しを行い、評価項目や評価基準の再設定を行った。その結果得られた各分野の結果を総合した評価結果のまとめを表1に示す。
 前回の結果と比較すると、第1位の米国から第7位のカナダまで、順位の変化はなかった。評価項目や評価基準が前回と異なることや、評価点を0.5点単位に改めたことなども影響しているため、数値だけで単純に比較することはできないことに留意されたい。

表1 世界の宇宙技術力比較調査 評価結果総括表(2015年版)

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