2017年3月
(研究開発の俯瞰報告書)ライフサイエンス・臨床医学分野(2017年)/CRDS-FY2016-FR-06
エグゼクティブサマリー

 本報告書は、JST-CRDSが、国内外の最先端で活躍する研究者の協力を得て、ライフサイエンス・臨床医学分野の全体像を俯瞰的に調査した結果をまとめたものである。

 健康・医療における課題は、治療から疾病管理への転換、対象の個別化・層別化を通じた安全性・有効性・経済性の向上、医療費・介護費の最適化などと考えられる。また、食料・環境における課題は、世界の食料問題への対応、国内の自給率向上、農作業等における省労力・省コスト・省資源投入化の推進等が挙げられる。一方で、「Ⅰ)技術の精緻化・先鋭化:生命の時空間観察および操作/創成」「Ⅱ)対象の多様化・複雑化:研究対象の拡大および複雑系の解析へ」「Ⅲ)データの統合化・システム化:統合ビッグデータに基づく個別化/予測へ」 の3つの潮流に集約される近年の目覚ましい技術革新によって、生命現象等の「理解」にとどまらず、「予測」と「予測に基づく制御」が可能となってきており、これら社会的課題の解決に科学技術が大きく貢献可能な時代となっている。推進すべき研究開発戦略の要素は次の通りである。
(1)精緻かつ膨大な実験データの取得、ビッグデータ解析、実験系における検証の一連のサイクルの構築、加速を通じた、高精度な理解と予測
(2)予測に応じた、適切な介入による事象の制御
(3)推進にあたっての研究基盤整備(設備/情報/人材/規制等)

 また、これからのライフサイエンス・臨床医学研究を推進するにあたって、「研究開発の循環」を強く意識する必要がある。基礎研究の成果が小規模な集団で検証され、社会で実際に使用されたデータに基づき技術が評価・検証された後、新たな仮説が見出され、再度基礎研究が推進される。この循環構造を加速させる駆動力がビッグデータに基づくデータ科学であり。以上を踏まえ、わが国において健康・医療、食料・環境の観点から推進すべき中長期戦略として、次の2点が挙げられる。これらの具体的な構想については次年度以降、JST-CRDSにおいて検討を予定している。
 戦略① データ統合医学(IoMT)・個別予見医療:【Precision Medicine】
 戦略② デジタル統合アグリバイオ技術(IoAT)による超スマート生産:【Precision Agriculture and Bio-Production】

 目次
研究開発の俯瞰報告書 ライフサイエンス・臨床医学分野(2017年)
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