2016年3月
(戦略プロポーザル)分離工学イノベーション~持続可能な社会を実現する分離の科学技術~/CRDS-FY2015-SP-04
エグゼクティブサマリー

 この提言が取り上げる分離工学イノベーションとは、複数物質の混合状態にある混合物から、目的とする物質だけを取り出す/または不要物を取り除く等の分離操作を、従来に比して格段に低エネルギー且つ高精度におこなうことを目指すものである。化学工学に代表される、既存の学術体系によって構築されてきた分離プロセス・機能を、現代の科学技術・イノベーションの観点から、そして将来社会・産業の要請から捉え直し、異分野科学技術の連携・融合から得られる知識と技術によって革新する取り組みを提案する。今、分離がキーとなるような社会・産業的に重要な諸課題に対し、分離過程を支配する共通の科学的原理に立ち返りつつ、工学的手法によって目的物質の分離を実現する分離工学イノベーションが求められている。

 一般に分離の基本原理は、機械的分離、平衡分離、速度差分離に大別される。本提言では、近年のナノテクノロジーや先端計測技術、シミュレーション技術の飛躍的進展を活用し、これら基本原理と、分離操作を担う媒介となる材料・デバイス・プロセスを、原子・分子レベルで制御することによって、従来は困難であった低エネルギー・高精度な分離操作の実現を目指している。通常、分離対象物質の単位エネルギーあたりの処理量と分離性能は、トレードオフの関係にあるが、分離性能を高く保ったまま、必要な処理量の分離を実現するイノベーションが目標となる。そこでは、個別に確立されてきた技術手法だけでは突破できない分離を、技術融合や新材料・デバイスの導入、反応との組合せなど複合化することによって、大きく凌駕することが求められる。すなわち、分離工学を体系化し、横断的な取り組みからイノベーションへ結びつけることを目指す必要がある。

 分離の対象課題は、大別した3つの主要ニーズ・方向性に分類している。1. 気体・液体の分離、2. 鉱物資源・固体の分離、3. バイオ・医薬食農系の分離、である。さらにこれらを横断する共通基盤的課題が重要であり、各主要研究開発課題とその推進方法について詳述している。

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