科学オリンピックだより 2010 vol.6

科学オリンピックでかけがえのない経験を!
科学オリンピックだより
TOPへ
物理の面白さがわかる全国物理
コンテスト「物理チャレンジ」

・問題
・問1の解法と解答
・問2の解法と解答
・まとめ

ダウンロード

「科学オリンピックだよりvol.6」
PDF (3,000KB)

 
問2 解法 質量の性質に注目して考える
私たちが普段使っている体重計は、重量が下向きに働く性質を利用しています。 無重量状態のスペースシャトルの中で体重を量るには、『質量の性質』を利用する必要があります。
問2の解法
重量と質量の違い
「重量」とは、重力によって生じる下向きの「力」のことです。月面では地球のおよそ1/6になり、無重量状態ではゼロになります。一方、「質量」は物質の「量」を表す単位で、宇宙のどんな場所でも一定です。地球上では重量と質量の値は同じですが無重量状態では異なり、重量と質量の性質の違いがはっきりと表れます。
質量を計る工夫
質量の大きさは「運動の変わりにくさ」と言うこともできます。重さのない無重量状態では、質量が小さい物体は簡単に動かせますが、大きい物体を動かすには大きな力が必要です。また、動いている物体も同様で、質量が小さければ簡単に止められますが、大きいものだと大変です。この点に注意して問題を整理してみます。

■重量の性質「下向きに働く力」を利用した装置  
 @体重計…重量で下向きに押し込まれたばねの変化を測る  
 A天 秤…互いに下向きに働く重量を比較して測る  
 C振り子…重量で往来する振り子の振動周期を測る
■質量の性質「運動の変わりにくさ」を利用した装置  
 Bばねの振動…ばねの反動で振動する周期を測る  
 D回転の周期…外力で体を回転させてその周期を測る
 
問2 解答
解答の解説
 ばねは、変形させた距離に比例して復元力が生じます。無重量状態でばねと体を接続して決まった長さだけ引っ張ると、ばねを引っ張った力と同じ大きさの復元力で振動し始めます。このとき、体の質量(加速しにくさ)が大きいほどばねが振動する周期は長くなり、そこから質量を計算することができます。
 なおDの回転運動は、毎回同じ姿勢で同じ力を加えることができれば、理論的には質量の測定は可能です。しかし緻密な制御を必要とするため、現実的ではありません。

問題のココが面白い!