科学オリンピックだより 2010 vol.6

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物理の面白さがわかる全国物理
コンテスト「物理チャレンジ」

・問題
・問1の解法と解答
・問2の解法と解答
・まとめ

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「科学オリンピックだよりvol.6」
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問1解法 「落下」が無重量状態を作り出す
キーポイント宇宙ステーションやスペースシャトルは、
地球の上空をグルグルと周回していますが、
その仕組みは、地球上で投げた物体が
落下するときと同じ原理を利用しています。
問1の解法
地球に「落ち続ける」から「回り続ける」
水平に投げ出された物体は、スピードが遅いときは手前に、速いときは遠くに落ちます。スピードをとても速くすると、落ちるときの放物線(カーブ)が地球の形状(丸み)と一致して、地球を回り続けることができます(空気抵抗を無視できる場合)。もし地球に重力がなければ、物体はレーザー光線のようにまっすぐ進み、円運動にはなりません。
自由落下によって無重量状態に
宇宙ステーションやスペースシャトルは、地球の重力圏内を周回しています。つまり地球に向かって落下しているのですが、充分な速さがあるため地球の形状(丸み)に沿って落ち続けています。このとき、宇宙飛行士・荷物・空気など、すべての物体が落下するため、船内は重さのない状態(無重量状態)となります。
 
問1 解答
解答の解説
 物体が重力にしたがって落下(自由落下)すると、無重量状態となります。宇宙飛行士の訓練のひとつに、自由落下する飛行機の中で約25秒間の無重量状態を体感するものがあります。
 この解答は観測者が地球にいるという前提で考えていますが、仮に宇宙ステーションやスペースシャトルにいた場合は、「重力と遠心力が等しい大きさになり無重量になる」という答えも成立します。ただし、Bは遠心力の方が重力より大きいとあるので不正解です。
月は落ちている
 ニュートンは「リンゴが木から落ちるのを見て引力の存在に気づいた」と言われていますが、そこから「なぜ月は落ちないのだろうか」とも考えたそうです。ニュートンは万有引力の法則で、「落ちる」の意味を「上から下に運動する」ではなく「引力を受けて運動する」という意味に転換し、「月は落ちている」という結論を導き出しました。地球の上空を回る人工衛星や、太陽の周囲を回る惑星も、この問題と同じ原理で落下による円運動をし続けています。

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