来年以降の国際大会の日本開催を機に、科学オリンピックに挑戦する生徒が増えることが予想されます。
世界の舞台を目指すための準備や「努力」の方法についてパネリストは、「短距離の全力疾走を繰り返す人より、
一定の速度で走り続ける人のほうがずっと遠くまで行ける。毎日コンスタントに勉強をする習慣をつけることがポイント」(廣井さん)、
「まずは、いま興味のある分野を突き詰めていく楽しさを味わってほしい。科学は多分野がつながっていることがわかってくると、興味の対象も広がると思う」(渡辺さん)、
「結果よりも過程で得られるものに価値があり、失敗から学べることも多い。努力の過程で見える『自分だけの景色』を大切にしながら取り組んでほしい」(中島さん)とアドバイスしました。
一方で秋山教授は、自身の研究生活を振り返りながら、「努力がすぐに報われるほど科学の世界は簡単ではない」と指摘。「それでも追究する意欲があれば、たとえ時間はかかっても成果は出る。
どの分野でも、あなたにしかできないことが必ずあるので、それを見つけるためにも努力を続けることが大切」と強調しました。
また、産業界を代表して出席したトヨタ自動車株式会社の高原勇氏は、技術者としてフランクフルトやデトロイトなど世界各地で多種多様な人々と働いた経験を紹介し、
「科学オリンピックは、若い時期に世界を知ることができる貴重な機会なので、積極的に活用してほしい」と参加を呼びかけました。
ファシリテータを務めた内田史彦・筑波大学教授(JST国際科学技術コンテスト支援推進委員会委員)は、
「経験者が語る言葉は皆さんが国際大会へチャレンジする上でも役に立つ」と参加した生徒たちにエールを送ると共に、
「産官学の連携をさらに深めて科学教育の充実を図り、世界に挑戦する生徒を国全体で応援する体制づくりが重要。
国際大会の日本開催が、科学教育への国民的関心を高めるきっかけになれば」と期待感を示しました。
セッションのまとめであいさつした、文部科学省科学技術・学術政策局の柿田恭良・人材政策課長は、
「来年以降の日本開催に向けて、代表生徒の皆さんが十分な力を発揮できるよう、文部科学省としても事前準備などの取り組みをしっかり支援していきたい」と表明。
また科学系人材の育成策では、「将来の研究職や技術職へとつながる、大学や大学院段階の環境整備にもさらに力を入れていく」とし、
「国際科学オリンピックへのチャレンジから、科学の道へ大きな夢と安心感を持って歩き出してほしい」と来場した生徒たちに呼びかけました。