科学オリンピックだより
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「科学オリンピックだよりvol.14」
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 説明会の後半は、今年度の代表生徒が成果を報告し、今後の国際大会を目指す生徒たちにアドバイスを送りました。 国際数学オリンピックで銀メダルを獲得した佐伯祐紀さん(開成高等学校3年)は、「いろんな国の生徒と交流し、友だちができたことがうれしい」と国際大会での経験を語り、 「代表になるまでの道のりで苦労した分、達成感があったし、大会を楽しむことができました」と振り返りました。
 「実験問題が予想以上に難しく、化学の奥の深さを感じました」と話したのは、国際化学オリンピック金メダリストの吉村耕平さん(麻布高等学校3年)。オリンピックの問題を通じて、 学校の授業とは異なる化学が学べるとし、「高校化学に飽き足らない生徒にこそ挑戦してほしい」と呼びかけました。
 国際生物学オリンピックで銀メダルを手にした宮田一輝さん(愛知県立岡崎高等学校2年)は、生物学オリンピックを目指す過程で学んだことが、化学の学習にも生かせた経験を語り、 「こうした大会に挑戦する過程で、自分の得意な分野に気づくこともある。教科の枠にこだわらず、横断的に学ぶことも大切だと思います」とアドバイスしました。
 国際物理オリンピック金メダルの渡邉明大さん(東大寺学園高等学校1年)は、「各国生徒と交流する中で、コミュニケーションのための英語の大切さを肌で感じました」と振り返る一方、 「たとえ代表になれなくても、国内大会に参加することでさまざまな出会いがあり、自分の将来を考えることができます」と挑戦する意義を強調しました。

 谷悠太さん(開成高等学校1年)は、情報と数学の国際大会に出場し、国際情報オリンピックで2年連続の金メダル、 数学オリンピックでも銀メダルを獲得しました。「前回が金メダルだったのでプレッシャーもありましたが、去年より総合順位も上げられてよかった。これからも参加したいと思いました」とほっとした表情で振り返っていました。
 ロシア北西部の古都トヴェリで開かれた国際地理オリンピックからは、銀メダリストの菊池裕太さん(筑波大学附属駒場高等学校3年)が出席。「フィールドワーク試験などを通じて、ロシアの自然や文化を体験できた。 現地へ赴き、野外に出て学ぶ大切さを、オリンピックを通じて多くの生徒に感じてほしいです」と話しました。
7教科の大会を締めくくる国際地学オリンピックは、9月にブラジルで開催されます。代表の茂木隆伸さん(筑波大学附属駒場高等学校3年)は、高校1年時から生物学と地学の国内大会に6回挑戦し、  「最後のチャンスの今回、初めて代表になれました」とうれしそう。大会での国際交流も楽しみにしているそうで、「私と同じようにカンブリア紀の生物を愛する人がいるのか、 自分から積極的に声をかけて友だちを見つけたいです」と意気込みを語ってくれました。
2016年の地学から始まる日本開催の国際大会には、高校生だけでなく、現在の小中学生も挑戦することになります。代表生徒たちは、「小学生の時期は、遊びを通じて好きなものを見つけよう」、 「生活科や社会科など、身近な地域に出かけて学ぶ授業を大切にしてほしい」とアドバイス。また、「高校の先生にオリンピック挑戦を勧められたことや、周りにオリンピアンの先輩がいたことが刺激になった」など、 先生を含めた学校全体での後押しや環境づくりが重要とする意見も出ていました。



 理科や数学の好きな生徒が活躍でき、同好の友人に出会える場として、多くの中高生が挑戦するようになった国際科学オリンピック、教育関係者にとっては世界の科学教育を知る機会ともなります。 日本での国際大会開催を、国全体で推進していきましょう。