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地域結集型研究開発プログラム

平成17年度事業開始地域中間評価報告書



平成20年3月
独立行政法人科学技術振興機構 産学連携事業本部 地域事業推進部

4. 地域別評価
4−2 奈良県
課題名 古都奈良の新世紀植物機能活用技術の開発
企業化統括 柴田 修((社)奈良工業会 会長、シバタ製針(株) 代表取締役社長)
代表研究者 新名 惇彦(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 教授)
中核機関 (財)奈良県中小企業支援センター
コア研究室 奈良県農業総合センター農業交流会館内
行政担当部署 奈良県商工労働部工業支援課
1*事業進捗状況及び今後の見通し
 事業は概ね順調に進捗しており、伝統植物に対して科学技術的な付加価値を加える点で研究基盤の形成が図られている。しかしながら、研究成果がどのように企業化に結びつくかは明確ではなく、ビジネスモデルの再構築が求められる。 そのためには大学主導から企業主導にシフトする必要があり、企業化統括の強力なリーダーシップが期待される。併せてマーケティングに長けたスタッフ、企業における広報戦略での成功体験者、また健康食品であっても綿密な臨床試験及びデータ解析が必要になってきているので自前でプロトコル作成等ができる臨床医などの参画が望まれる。

2*研究開発進捗状況及び今後の見通し
(総論)
 一部のテーマに遅れが見られるものの、ほぼ予定通りの進捗と判断される。但し、先端的研究手法等を駆使して研究成果の蓄積が図られている割には学会・論文発表、特許出願などの件数は少なく、今後、これらの底上げに注力しつつ積極的なPRが必要である。
 また、フェーズUを進めるに当たっては、研究テーマの絞り込みを行った上で基礎研究中心から産業上の利用を意識した研究に明確に切り替えるべきである。 テーマ組織が縦割りで連携が不十分また研究員数に比し小テーマ数が多いので、コア技術のメタボリックプロファイリングを中心に4つのテーマが連携する体制にし、かつ類似小テーマの統合によって研究効率の向上、目的意識の統一化を図ることが求められる。

(各論)
サブテーマ名 コ メ ン ト
1−1 吉野クズの骨粗鬆症予防機能等の評価及び栽培・食品への活用
  • 科学的分析や動物実験の段階までは順調と判断される。
  • ヒト試験方法の見直しに加え、機能性物質を採取するのかまたは全体を食物とするのか、大豆イソフラボンとの優位性、全国のクズとの差別性の検討等も踏まえた出口戦略の策定が望まれる。
1−2 大和マナの抗炎症機能等の評価及び栽培・食品への活用
  • 研究の進捗度及び水準は高いが、食品としての摂取量と生体への効果の程度が不明。産業という視点での有効性を示すことが必要である。            
  • 1-2c抗炎症作用の解明と1-2h(1)生理活性化合物の探索、1-2e自家不和合性遺伝子の同定と1-2f自家不和合性遺伝の網羅的解析とその応用のテーマは、統合または交流を密にすべきである。
優良大和生薬品種の鑑定技術及び増殖技術の開発
  • DNA分析や成分分析に着手し、方法論的に技術確立したことで評価できる。 
  • 2d新規外用薬の開発は、研究の存続を含め方法論を見直すべきである。
大和茶のメタボリックプロファイリングを利用した最適栽培・加工技術の開発
  • 官能試験の科学的分析が可能となったことで評価できる。データ蓄積が進むと成果が顕著になり、さらに高級イメージへの訴求点を明確にすることにより、産業的価値が高まると推測されるので、対外的認知度を高める努力をして欲しい。            

3*成果移転に向けた活動状況及び今後の見通し
 何を売るのかという観点でのマーケティングが弱く、成果移転に向けた戦略の見直しが必要である。ターゲットの絞り込みは市場やユーザーの意見等も充分に取り入れ、定量的な経済性評価に基づいて行うことと、企業化の推進は共同研究成果を待って種苗・栽培、成分含有食品、流通・販売と進む一方通行の検討だけでなくフィードバックさせるシステムにし、より積極的な広報活動また海外展開も視野に入れて取り組むことが望まれる。

4*都道府県等の支援状況及び今後の見通し
 奈良県は地域産業振興のため商工労働部、農林部、健康安全局が三位一体となってコア研を整備し、かつ研究及び企業化のキーマンを外部から招聘して事業を運営させるなど、他県に比べてレベルの高い支援が行われていると評価できる。   一方で、県の産業振興ビジョンが研究者に十分に浸透しているとは言えないので、研究の絞り込みにおける県や企業化統括の主導性の発揮及びより一層の広報的支援を期待する。

◆(参考1)事業の目標・概要

◆(参考2)フェーズI における学術的、技術的、対外的活動実績

◆(参考3)フェーズI における研究項目と実施体制

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This page updated on April 4, 2008
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