消防防災科学技術研究推進制度

【施策・事業概要】

  1. 事業名称  消防防災科学技術研究推進制度

  2. 所管官庁  消防庁

  3. 開 始 年  平成15年度

  4. 予  算  1億9,900万円 (15年度)

  5. 事業概要
     本事業は、消防防災科学技術の振興を図り、安心・安全に暮らせる社会の実現に資する研究を、提案公募の形式により、大学、研究所、消防機関等産学官において研究活動に携わる者等から幅広く募り、優秀な提案に対して研究費を助成し、産学官の連携を推進するとともに革新的かつ実用的な技術へ育成するための、消防防災分野の競争的資金制度。

  6. 研究対象
     この制度は、消防防災が直面する課題解決を図るために、産学官各方面で埋もれている技術シーズを発掘・育成し、成果の社会・経済への還元を推進することを目的としている。
     そのため技術開発に関する研究の内容が、我が国の直面する消防防災に係る課題の解決にとって、実用的な意義が大きいものであり、かつ、消防防災への波及効果が具体的に想定される、科学技術(自然科学及び人文・社会科学)に関する萌芽的研究・基礎的研究・応用研究・開発研究を公募の対象とする。

【事業スキーム】
  1. 助成対象・要件
    @産学官の研究開発機関、調査機関、学協会、NGO等の機関又は団体であり、当該機関等の中には応募研究課題意見集約等を行うもの(研究代表者)が置かれており、研究代表者は、研究期間中、研究計画全体及び委託された研究費の適正な執行に関し、責任を持つことができる体制となっていること。

    A産学官の研究開発機関、調査機関、学協会、NGO等の機関等で構成されるグループであって、次のア及びイの要件を満たすものとする。
    • グループには、応募研究課題全体に対して責任を有する機関等(以下、「中核機関」という。)が定められていること。
    • 中核機関には、研究代表者が置かれており、代表者は、研究期間中、研究計画全体及び委託された研究費の適正な執行に関し、責任を持つことができる体制となっていること。

  2. 研究期間  1年間、2年間又は3年間のいずれか。

  3. 研究課題の採択
     消防庁に設置する「消防防災科学技術研究推進評価会(11名の学識経験者から構成)」が、提出された申請書類等の内容を基基に評価を行い、必要に応じてヒアリング審査も実施する。
     評価は「消防防災への貢献の高さ」が最も重視される。また、市町村の消防本部(消防事務(火災の予防、警戒及び鎮圧、救急業務並びに人命の救助等)を処理する機関)との連携の有無についてを加点考慮して評価する。
     審査の具体的な観点は下記の通り。
     @ 消防防災への貢献の高さ、A 研究方法の妥当性、B 研究代表者の妥当性、C 研究実施体制の妥当性 、D 申請経費の妥当性、E 研究期間の妥当性

  4. 採択実績
    平成15年度 16件 (応募131件)

  5. 1課題当たり助成規模
    A区分:直接経費で100〜400万円/年
    B区分:直接経費で400〜2,000万円/年
          間接経費(直接経費の30%を上限とする額)

  6. 知的財産権の帰属等
     この研究により得られた知的財産権は、次に掲げる要件を了承する場合において、発明者(研究代表者又は研究担当者)個人に帰属する。
     また、この事業により得られた知的財産権(知的財産権を受ける権利を含む。)の全部又は一部の譲渡等を行おうとする場合は、事前に消防庁長官の承認を受けなければならない。なお、この研究が、研究代表者等が所属する機関の承認の下で行われている業務(公務)の一部である場合には、取得した知的財産権を当該所属機関における規定(職務発明規程等)に基づき、当該所属機関に承継させることができる。
    @研究により得られた特許、実用新案登録、意匠登録等を出願もしくは取得した場合、又は実施権を設定した場合は、消防庁長官に報告すること。
    A消防庁が公共の利益のために特に必要があるとしてその理由を明らかにして求める場合には、無償で当該特許権等を利用する権利を消防庁に許諾すること。
    B当該特許権等を相当期間活用していないと認められ、かつ、当該特許権等を相当期間活用していないことについて正当な理由が認められない場合において、消防庁が当該特許権等の活用を促進するために特に必要があるとしてその理由を明らかにして求めるときは、当該特許権等を利用する権利を第三者に許諾すること。
    C消防庁は、特許等の出願・登録状況を自由に公表できること。

【実施状況】

  1. 地域性についての考え方
     研究課題の募集を行う上で産学官連携は要件としていないが、結果的に地域の産官学が連携して研究に当たっている研究事例が多い。
     上述の通り、地域の消防本部との連携がある場合、採択評価の際に加点考慮される。消防本部は市町村毎、あるいは複数の市町村にまたがって全国894カ所(H15.4.1現在)設置されており、その地域の消防、防災を統括しているため、地域内の防災関連企業などの産業界、当該研究を行う大学とのつながりは強く消防本部が共同研究者に加わっている研究課題は地域性が高いことが特徴である。

  2. 新事業創出効果についての考え方
     本事業の基本目的は消防活動の現場における安全確保、防災技術の向上にあり、特段視野には入れていないが、新規の消防器具、防災用具・施設の開発等は結果として新製品、新事業の創出につながるであろうことは把握している。
     他制度を見ると、研究開発終了後に一定期間おける研究開発の成果の実用化(収益)状況の報告が義務づけられ、相当の収益を得たと認められた場合、収益の一部納付を義務づける制度もあるが、本事業では現時点ではそうしたことは考えていない

  3. 研究の評価・審査
     研究代表者は、研究期間中は毎年度、研究の進捗状況及び交付を受けた研究費の使用状況について報告する。
     なお、複数年度にまたがる研究課題(15年度採択16課題中13件)については、3月に開催する研究報告会、及び提出される報告書に基づき、個別研究課題が採択の際の申請内容、研究費の交付決定の内容及び条件に従って確実に遂行されているかどうかの評価を行い、評価結果を次年度の資金の適正配分等(目的・計画の見直し、拡大・縮小・継続・中止等)に反映する。
     評価の結果によっては、申請された研究期間中であっても、翌年度以降の研究計画の変更を求め、あるいは、研究費の交付を中止することがある。
     また、研究終了後に、研究成果の波及効果や活用状況等に関する追跡評価(研究成果の発表状況、特許等の知的財産権の出願・登録状況等に関する評価)を行う予定。

  4. 他事業との関係(重複応募等への対応)
     同一の課題名又は内容で、既に総務省又は他省庁等の研究助成制度による助成を受けている場合、又は採択が決定している場合は審査の対象から除外され、採択の決定も取り消される。
     なお、他制度への採択が決定していない申請段階での本事業への申請は認められているが、他制度への申請内容、採択の結果によっては、本事業の審査の対象から除外され、採択の決定が取り消される場合もある。
     また、同一の者が研究代表者として、本事業に2件以上申請している場合、同一の者が研究代表者以外の研究担当者となっている課題を、複数件申請することは差し支えないが、極力避けてほしい。

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