建設技術研究開発助成制度

【施策・事業概要】

  1. 事業名称  建設技術研究開発助成制度

  2. 所管官庁  国土交通省

  3. 開 始 年  平成13年度

  4. 予  算  
    平成13年度  1億円
    平成14年度  2億4,000万円
    平成15年度  2億5,000万円

  5. 事業概要
     本事業は、急速に変化する社会経済情勢に的確かつ早急に対応するため、建設分野の技術革新のみでその解決を図るのではなく、建設以外の他分野を含めた広範な学際領域における建設技術革新を促進し、それらの成果を公共事業等で活用することを目的に、大学等の研究機関の研究者等の研究開発費を助成するため、予算の範囲内において補助金を交付する競争的資金制度である。
     公募テーマは「一般分野」と、「総合技術開発プロジェクト関連分野」の二種に分類される。

  6. 研究対象
    〔一般分野〕
     国土交通省の所掌する建設技術に関する研究開発で、以下のテーマのいずれかに該当するものを対象とする。なお、要素技術の開発(例えば、非破壊検査技術、ロボット施工技術など)も対象とみなす。

    @ 安全で豊かな住宅・社会資本の整備
    災害に強く安全で、美しい日本の再生と都市の再構築等による質の高い生活の基盤創成など、住宅・社会資本整備のための研究開発。

    A 環境問題解決
    地球環境問題の解決、生活環境の改善、循環型社会の構築及び自然共生型社会の構築のための研究開発。

    B 住宅・社会資本整備のためのソフト・ハードの情報技術推進
    住宅・社会資本に係る高度情報化技術及び生活者とのコミュニケーション技術などの人文・社会科学と連携したソフト技術の推進に資する研究開発。

    〔総合技術開発プロジェクト関連分野〕
     国土交通省の実施する総合技術開発プロジェクト(以下「総プロ」という。)に関連し、総プロの成果の獲得や成果の普及、成果に基づく施策の実施に一層の効果が期待される以下のテーマのいずれかに該当するものを対象とする。なお、本制度による成果は総プロから独立したものであり、被交付者に帰属する。

    @ 自然共生型国土基盤整備技術の開発に資する研究開発
     水循環や生態系の回復・再生を通じて流域圏の観点からの自然共生型都市再生を実現していく国土整備プログラムを開発することを目的に実施する総プロ「自然共生型国土基盤整備技術の開発」の推進に資する以下のテーマによる研究開発。
    • 汚濁負荷低減のための浄化手法に関する研究開発
    • 面的汚濁負荷の変容メカニズム及び流出過程の解明に関する研究開発
    • 生物多様性評価のための環境モニタリングシステム開発

    A 社会資本ストックの管理運営技術の開発に資する研究開発
     今後の土木構造物・建築物・住宅等の社会資本ストックの管理運営について、環境及び財政面の厳しい制約下で、ストック維持・活用型への本格的な転換を図るため、社会資本の戦略的なストックマネジメント計画技術を開発することを目的に実施する総プロ「社会資本ストックの管理運営技術の開発」の推進に資する以下の研究開発を対象とする。

    • 社会資本ストックのライフサイクルコスト低減手法に関する研究開発
    • 環境負荷をライフサイクルマネジメントに取り入れるための評価手法に関する研究開発


【事業スキーム】
  1. 助成対象・要件
    @学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学又は同附属試験研究機関に所属する研究者(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条に規定する一般職に属する職員を除く。ただし、教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)の適用を受ける者及び非常勤職員はこの限りでない。)
    A研究を主な事業目的としている民法(明治29年法律第89号)第34条の規定に基づき設立された公益法人又は当該法人に所属する研究者
    Bその他大臣が適当と認める法人又は当該法人に所属する研究者(なお、当該認定は、4.1の建設技術研究開発助成制度評価委員会において、採択候補課題の審査と併せて、実施する当該法人等の実績、体制等が課題の遂行に必要不可欠であることが評価された上で、最終的に大臣が適当と認める。)
    C上記に該当する研究者2人以上が同一の研究開発を共同で行う場合は、当該研究開発の代表者

  2. 研究期間
     原則単年度。ただし、特段の理由がある場合は最長3年までの研究期間を認めることがある。なお、研究開発の期間が複数年で、研究開発の交付継続を希望する場合は、その継続を審査するために翌年度にそれまでの成果等を報告しなければならない。

  3. 研究課題の採択
     国土交通省に設置する専門家からなる建設技術研究開発助成制度評価委員会が提出された提案書の内容について社会性、技術革新性、実現可能性、総プロによる研究開発との適合可能性の観点から審査を行う。必要に応じてヒアリングを行う。
     この様に審査については研究者の経歴だけではなく書類とヒアリングの二重審査で研究内容により採択課題を決定している。

  4. 採択実績
    平成13年度  3件 (応募61件)
    平成14年度  6件 (応募84件)
    平成15年度  8件 (応募70件)

  5. 1課題当たり助成規模
    1,000〜5,000万円/1年
    ただし、交付申請者が法人の場合は、3,000〜5,000万円/1年

  6. 知的財産権の帰属等
     研究開発により生じた特許等の知的財産権は、被交付者に帰属する。なお、国土交通省は特許等の出願・登録状況を自由に公開できるものとする。
     被交付者が研究開発の成果に係る特許権等の知的財産権又は当該知的財産権を受ける権利の全部又は一部を譲渡する場合には、譲渡を受ける者から相当の対価の支払いを受けることを契約等において定めた上で行うものとする。

  7. 事業のフロー
     共同研究による企業連携の例
    募集対象は原則として大学の研究者、公益法人の研究者であり、民間企業が応募に参加する場合は、以下のような研究開発体制をとることが考えられる。


【実施状況】
  1. 地域性
     大学等の研究代表者1名に対して助成しているが、研究代表者が民間企業、研究機関、公的機関と共同で研究を進めているケースは多い。研究課題の地域性について特段調査は行っていないものの、大学の研究者が民間企業、公的機関と共同で行う事業で、特定地域の建築物を巡る諸問題、特定地域に特化した環境問題を対象とした研究が散見される。

  2. 新事業創出効果
     本事業の趣旨は、建設技術の振興であり、特段視野には入れていない。
     ただし研究開発期間中及び研究開発終了後の5年間、各年度における研究開発の成果の実用化(収益)状況を報告しなければならない。
     そして研究開発の成果の実用化又は知的財産権の譲渡又は実施権設定及びその他当該研究開発の成果の他への供与により相当の収益を得たと認められた場合、交付した補助金の額を限度として、その収益の一部を国に納付しなければならない場合もある。

  3. 研究の評価・審査
     受託者は研究開発期間終了後、当該研究開発期間に行った研究開発によって得られた成果について、総合研究開発報告書(冊子体)を作成し提出する。会計年度終了後に委員会で研究開発成果の評価を行うとともに、補助金の配分の妥当性などについて評価を行う。

  4. 他事業との関係(重複応募等への対応)
     他事業との重複応募は禁止されている。


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