地域新生コンソーシアム研究開発事業

【施策・事業概要】

  1. 事業名称  地域新生コンソーシアム研究開発事業

  2. 所管官庁  経済産業省

  3. 開 始 年  平成9年度

  4. 予  算
    平成14年度  86億5,000万円
    平成15年度  99億9,000万円

  5. 事業概要
     本事業は、企業等が行うリスクの高い実用化技術開発に要する経費の一部を国が補助することによって、地域において新産業・新事業を創出し、地域経済の活性化を図ることを目的とする。
     上記目的を具現化するため、本事業を実施するにあたっては、研究開発成果が技術等の実用化までで留まるものではなく、実際に事業化するところまでを充分に視野に入れたものとなるような研究開発であることが必要。

  6. 事業の対象範囲
     本制度の事業は、大学等の技術シーズ・知見を活用して事業化に結びつく製品・サービス等の開発を対象としている。したがって、技術シーズ・知見に、本研究開発を開始するための充分な基礎研究、調査等の蓄積があることが必要である。そのため、技術シーズ・知見の研究を本事業の主体とすることはできない。
     また、事業化のための生産技術等であって研究開発要素のあるものは含まれるが、研究開発要素の薄い量産設備等の整備事業は含まない。

  7. 研究開発課題の募集分野及び主な要件
     研究開発課題については、次に示すとおり、【一般枠】及び【中小企業枠】の2つの枠について募集する。
     また、それぞれの提案枠において、エネルギーの使用の合理化(2010年度において、原油換算で年間20,000キロリットル以上の省ネルギー効果のあるもの。以下同じ。)に寄与する研究課題であるものと、その他の研究課題であるものの2区分がある。

     I.地域新生コンソーシアム研究開発【一般枠】
     次の1)に示す産業技術戦略上の目標であって、同目標の達成に資する重点分野に原則として該当する研究開発であることが必要。
    1)産業技術戦略上の目標
    産業技術戦略に沿った、我が国経済社会の持続的発展を達成するための下記目標達成に資する研究開発課題であること
    @高齢化社会における安心・安全で質の高い生活の実現
    A経済社会の新生の基盤となる高度情報化社会の実現
    B環境と調和した経済社会システムの構築
    Cエネルギー・資源の安定供給の確保
    2)重点分野
    上記目標を達成するために設定する下記重点分野に原則として該当すること。
    @ 情報通信分野H 住宅産業分野
    A バイオテクノロジー分野I 航空機分野
    B 機械分野J 宇宙分野
    C 化学分野K 自動車分野
    D エネルギー分野L 繊維分野
    E 医療・福祉分野M 食料分野
    F 材料分野N 造船分野
    G 環境分野O 建設分野
    ※ただし、農産物の栽培方法といった農業技術の開発等は対象とならない。

    II.地域新生コンソーシアム研究開発【中小企業枠】
    前記Tに該当するもののうち、次のいずれかの要件を満たすものを対象とする。
     @ 参加企業数の2/3以上が中小企業であること。
     A 研究開発費総額のうち、管理法人の設備関係経費(レンタル・リース料を含む)を差し引いた金額の2/3以上を中小企業が担当すること。


【事業スキーム】

  1. 研究開発期間と研究開発費の規模
     1プロジェクト当たりの研究開発期間及び研究開発費の規模は、原則として、それぞれ次のとおりとする(審査後に査定)。ただし、研究開発期間については、委託を行う経済産業局の判断によって、短縮又は中断することがある。

     研究開発期間研究開発費
    一 般 枠2年以内初年度目:1億円以内
    2年度目:5千万円以内
    中小企業枠2年以内初年度目:3千万円以内
    2年度目:2千万円以内

  2. 主な応募資格
    応募は、以下の要件を満たしたコンソーシアムのみ行えます。
    (1)コンソーシアムの資格要件
    コンソーシアムは以下に説明する管理法人、総括研究代表者、副総括研究代表者及び研究実施者によって構成されるものとし、委託研究に必要な技術シーズ・知見を有する者を含む必要がある。
    研究実施者は、原則として複数(中小企業枠の場合は単独でも可)の民間企業を含む構成とする。
    コンソーシアムには、大学、高等専門学校(以下「高専」という。)、大学共同利用機関、独立行政法人及び地方独立行政法人であって試験研究に関する業務を行うもの、特殊法人であって研究開発を目的とするもの並びに国及び地方公共団体の試験研究機関(以下「試験研究機関等」という。)のうちのいずれか1つ以上の機関を含む構成とする。
    アドバイザーの参画は任意。

    (2)研究開発実施体制に関する資格要件
    @総括研究代表者又は副総括研究代表者の適性
     総括研究代表者及び副総括研究代表者に予定されている者が次の各号に該当すること。
    イ)高い研究上の見識と管理能力を有し、研究計画の企画立案並びに実施及び成果管理のすべてについて総括を行うことができる能力を有していること。
    ロ)当該研究開発のために必要かつ十分な時間が確保できること。
    ハ)実用化技術開発に高い知見を有すること。
    A管理法人の財政的健全性及び管理能力・体制
     当該研究開発を受託できる財政的健全性を有していること。
     また、コンソーシアム構成員相互の関係を調整し、事務的管理及び研究開発成果の普及を行う能力を有しており、かつ、そのための体制が整備されていること。
     なお、通常、委託費は精算払いとなるので、研究期間中の再委託先への立替払いが可能であること。
    B参加民間企業の開発体制及び能力
     当該研究開発に参加する民間企業に委託研究開発を行うための体制が整備されており、開発能力があること。
    C試験研究機関等の体制
     当該研究開発に参加する試験研究機関等に委託研究開発を行うための体制が整備されていること。

  3. 提案プロジェクトの選定
    @ 選定方法
     プロジェクトの選定は、経済産業省に設置した外部有識者で構成される審査委員会での審査結果を踏まえて行う。

    A 審査基準
     審査委員会は、応募資格を満たしている提案プロジェクトについて、以下の項目を基に評価し、総合的な審査を行う。
      I . 研究開発内容の評価
      II . 事業化可能性の評価
      III . 地域の産業政策上の観点からの評価

  4. 採択実績
    一般枠 (省エネルギー枠を含む)
    平成14年度  49件 (応募483件)
    平成15年度  61件 (応募480件)

    中小企業枠
    平成14年度  73件 (応募408件)
    平成15年度  29件 (応募383件)

  5. 研究成果の帰属
     委託研究を実施することにより特許権等の知的財産が発生した場合、その知的財産権の帰属先は、以下の3条件を遵守することを条件に、原則としてコンソーシアムの構成員となる。
    ア)知的財産権に関して出願・申請の手続きを行った場合、遅滞なく国に報告すること。
    イ)国が公共の利益のために、特に必要があるとして要請する場合、国に対し、当該知的所有権を無償で利用する権利を許諾すること。
    ウ)相当期間活用しておらず、かつ正当な理由がない場合に、国が特に必要があるとして要請するとき、第三者への実施許諾を行うこと。


【実施状況】

  1. 地域性
     本事業の最大の目的は、「地域における産学連携による新産業・新事業を創出するための技術開発の推進」にあり、応募の際も想定する地域産業界への波及効果や地域社会への貢献に関して、本事業の委託研究実施の結果、予測される@技術的波及効果(技術移転、技術集積等、技術力の向上効果等)、A地域における新たな研究開発体制・連携の構築・事業化計画、B市場創出効果・経済的効果、D人材育成効果・雇用創出効果、E研究開発等に対する地域の取組、価値観の向上など、地域における知的サイクルを活性化し、新たな活力の創出に貢献するか等の要件について、詳細に記載する必要がある。
     また、地域の技術研究開発能力や産業集積の活用など研究実施者(特に民間企業)が地域的に連携していることも必須要件とされるが、仮に管理法人と研究実施者、又は、研究実施者相互が地理的に著しく離れている場合の連携の方法について、応募段階で示さなければならない。

  2. 新事業創出効果
     本事業は、「地域における事業化が見込まれるなど、地域への直接的な技術的・経済的波及効果が期待できること」が研究開発の前提に置かれている。
    応募の段階で、本研究開発終了後において、事業化に向けてさらに取り組まなければならない製品化のための技術的課題について、また、その技術課題を解決するための「製品化のための技術開発内容」及び「開発スケジュール」、さらに事業化にいたった際に想定する市場における競合製品等に対する本製品等のシェアの推移、本製品の優位性の根拠を製品価格及び性能等からの説明が求められるなど、研究開発の計画段階から高い水準の事業化プランが求められているのが特徴である。

  3. 研究の評価・審査
     各研究代表者は委託研究の実施期間の終了日までに研究成果報告書を国に提出する。研究開発期間が2年間のプロジェクトについては、初年度の後半に実施状況の評価を行い、評価の結果によっては次年度の計画変更の必要が生じる場合又は継続が認められない場合もある。
     研究開発終了時には、経済産業局の最終評価委員会の場で、最終評価を行う。
     また、研究開発終了後5年間は、その後の事業化の進捗状況や技術開発成果の波及効果などについての報告することが必要。

  4. 他事業との連携状況
     同一研究者の同一又は著しく類似した内容のプロジェクトは、関係省庁等の連携により重複して助成しないこととなっており、同一の研究者の類似の実施済み又は実施中若しくは応募済みプロジェクトの有無について調査の上、万が一正しい報告が行われなかった場合や記載漏れが判明した場合は、不採択になることがある。
     これについても応募時に書面で本事業を含め、経済産業省その他の省庁等(各々に関連した特殊法人等の外郭機関を含む)による研究開発制度・事業において、実施済み又は実施中若しくは申請中及び申請予定とされているもののうち、本提案内容と類似した研究開発内容と思われるもの又はその恐れがあるものについては、当該案件ごとに双方の研究内容等につき、それぞれの類似点及び相違点等について報告しなければならない。

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