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ALCAについて

事業の目的

温室効果ガスの削減を中長期にわたって継続的かつ着実に進めていくため、文部科学省が策定する研究開発戦略のもと、新たな科学的・技術的知見に基づいて温室効果ガス削減に大きな可能性を有する技術を創出するための研究開発を推進し、グリーン・イノベーションの創出につながる研究開発成果を得ることを目指します。


事業のしくみ

JSTは、本事業運営の責任者である事業統括(PD)および研究開発課題の進捗管理責任者である運営総括(PO)を配置し、円滑かつ効率的な事業運営の推進に努めます。

事業の実施にあたっては、事業統括(PD)が委員長を務め、運営総括(PO)および外部の有識者・専門家が委員を務める先端的低炭素化技術開発事業推進委員会(以下「推進委員会」)で、公募の対象となる技術領域の設定や採択候補課題の選考、研究開発課題の予算の全体調整など、事業の推進に必要となる事項について審議します。

先端的低炭素化技術開発事業推進委員会
推進委員会
※各分科会は、8名程度の分科会委員及び数名の外部有識者・専門家で構成
※先端的低炭素化技術開発事業推進委員会は、PD・PO・外部有識者で構成

本事業のしくみは以下の通りです。

1公募
  • JSTは、推進委員会で定められた技術領域のもとで、新たな科学的・技術的知見に基づいて温室効果ガスの削減に大きな可能性を有する技術を創出するための挑戦的な研究開発課題を公募し、推進委員会の評価に基づき選定します。

ALCAの概要
2研究開発の推進
  • JSTは、採択された研究開発課題の研究開発計画書を、推進委員会の審議を経て決定します。また、研究開発計画書に基づき、研究開発課題の代表者等が所属する研究機関との間で、原則として委託研究契約を締結し、研究開発を推進します。
  • 採択された研究開発課題においては、研究開発計画書をもとに、グリーン・イノベーションの創出につながる研究開発成果を得ることを目的に研究開発を実施することとなります。その際、運営総括(PO)が中心となって各研究開発課題の進捗を管理します。

研究開発課題の推進と事業全体のマネージメント
3課題の運営
  • 推進委員会は、研究開発の実施期間中に、以後の研究開発継続の是非を判断する評価(ステージゲート評価)として中間評価等を実施します。その評価結果に基づき、研究開発計画の見直しや研究開発課題の中止等を行うとともに、新規課題の追加採択を検討します。また、研究開発期間終了後、事後評価を実施します。
  • 研究開発においてグリーン・イノベーションの創出につながる顕著な研究開発成果が得られた場合、研究開発の重点化や成果の加速等の新たな研究計画書を策定し、新たな段階の研究開発に進むことができます。
  • 研究開発期間は新たな段階の研究開発期間を含め、最長10年です。
  • JSTは、研究開発期間終了から数年後、追跡評価を実施します。

ALCAへのメッセージ

※ALCA開始にあたっての北澤宏一前理事長からのメッセージを掲載いたします。

 最近の国際調査で、日本の子供たちの環境意識が非常に高いことが示されています。
 一方、日本の子供たちは将来に夢を持っていると答える割合が低く、また、現在の科学技術に不満を抱いていることも示されています。
 子供たちが生きていかねばならない未来の不安な地球環境。現在の大人たちに不足する環境への配慮。その不満が子供たちの心の底にあると感じます。
 昨年暮れに発表された政府の「新成長戦略」は「グリーン・イノベーション」と「ライフ・イノベーション」を二大戦略と定めました。「経済成長の原動力の85%は技術革新にある」とされますが、日本経済の復活にもこれらのイノベーションを繋げなければなりません。
 すでに新政権は2020年の温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減するという日本の目標を世界に提示しました。アプローチは二つに分けられます。
 ひとつは25%削減を確実に成し遂げるために、現時点で使える見通しがついた技術を精査し、具体的な達成計画を立てること。これは経済産業省と環境省が中心となって、産業界と国民が協力していける「実施計画」を立てて行きます。
 もうひとつは、不確実ではあるが、この「計画を前倒し実現」、あるいは「より高いレベルで実現」、「より小さな国民負担で実現」を目指すゲーム・チェンジングな新技術の可能性を探る研究を行うものです。
 日本の若手研究者がブレークスルーを生み出して世界をリードしている最近の例は、JSTの戦略創造という事業から出て来たiPS細胞の京大山中伸弥教授、鉄系超伝導、透明トランジスタの東工大細野秀雄教授です。このようなブレークスルーを低炭素化社会に向けてどんどん生み出すこと。その努力が若者たちを奮い立たせ、夢を与えます。
 ブレークスルーはどこから出てくるか分かりません。少なくとも私たち研究者の構想力の限界を今までより格段に広げる必要があります。
 例えば、光合成効率が飛躍的に高い太陽エネルギー農場、昆虫などを用いたバイオマス自動収集、結晶を使わないシリコン太陽電池、消音型小型風車、電池とキャパシタを兼ねる非化学電池、部屋の温度が変わらない熱交換空気入れ替え、地球大の無ロス配電など、イマジネーションを大きく広げて行く必要があります。
 ブレークスルーが起こると、環境エネルギーはゲーム・チェンジングな未来宝庫になります。未知領域の研究に挑むには研究者の勇気も必要です。「ゲーム・チェンジング」という発想です。化石エネルギーによって繰り広げられてきたこれまでのゲームに終わりを告げ、自分自身の研究でまったく新しいゲームの始まりを世界に告げる。
 そのために、ハイリスクだが、独創的な「課題解決型基礎研究」を支援する、これが私たちの役割です。
 どんどん若い研究者に手を挙げてほしい。チャレンジングな研究に取り組む姿が、なにより未来の子供たちに夢を与えます。

参考文献:北澤 宏一著 『科学技術は日本を救うのか』 ディスカヴァー・トゥエンティワン、2010年(ISBN978-4-88759-792-1)