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実用技術化プロジェクト

バイオマスの化成品化およびポリマー化のための高効率生産プロセスの開発

領域概要


運営総括:
土肥 義治 /
高輝度光科学研究センター 理事長

カーボンニュートラルな資源であるバイオマスから社会や産業に有用な化成品やポリマー素材を高効率で生産する新しい触媒と反応プロセスを開発することは、低炭素化社会構築のための重要な技術課題であり、その研究開発は世界各国で活発に推進されています。実用化に向けては、現行の石油化学工業と競合するためにバイオマス製品の低コスト化、高性能化、環境低負荷化など多様な課題があります。とくに、低コスト化に寄与する合理的な省エネルギー生産プロセスの創出と、付加価値の高い化成品やポリマー素材の創出が求められています。

本プロジェクトでは、食料と競合しないバイオマス資源のリグノセルロースを出発原料として、高付加価値な化成品や高性能なポリマー素材を生産する技術の開発、それらを高効率・高速度で合成する触媒や酵素の開発、省エネルギーで目的の製品を生産できる環境調和型プロセスの開発など、革新的なバイオマス変換技術の開発を目指します。

これまで、ALCA研究で蓄積されてきたバイオマスの利用技術を基盤に、実用化に向けステップアップし、他のプロジェクトとも連携しながら、革新的な高効率バイオマス変換プロセスを開発することによって、低炭素社会の形成に貢献します。


PRESS RELEASE

世界最高強度の透明樹脂の開発に成功

遺伝子組換え微生物を用いて生産されるシナモン類を原料としたバイオプラスチックの合成に成功し、これを用いた世界最高強度の透明樹脂を開発しました。


 植物などの生物に由来する再生可能な有機性資源(バイオマス)を原材料とするバイオプラスチックのほとんどは柔軟で壊れやすく力学的な強度に問題があります。このため用途は限られ、主に使い捨て分野で使用されているのが現状です。

 これまで研究チームは、新たに開発した組換え微生物を用いてシナモン系分子の一種であるアミノ桂皮酸をバイオマス原料から生産することに成功しました。

 今回はさらに透明度が極めて高く、汎用型の透明樹脂であるポリカーボネートと同等の透明度(87%:波長400nm)を示すだけでなく、407MPaというポリカーボネートの6倍に相当する高い力学強度を示すバイオプラスチックを開発しました。これはガラスの力学強度(100-150MPa)を遙かに超えるものであり、ガラス代替材料としての応用が期待できます。さらに、耐熱温度も250℃程度もあり、工業用プラスチックとして幅広い用途が期待できます。特に、自動車などの輸送機器の軽量化や新たなフレキシブルパネル材料などへの応用が期待され、大気中の二酸化炭素の削減に貢献できると考えられます。

(北陸先端科学技術大学院大学プレス発表より)

H24

多機能不均一系触媒の開発

原 亨和 (東京工業大学 フロンティア研究機構 教授)

 セルロースバイオマスから得たグルコースから5(- ヒドロキシメチル)-2-フルアルデヒド(HMF)を経由し、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)や2,5-ビス(アミノメチル)フラン(AMF)等のフラン系モノマーを生産する技術の確立を行います。この技術的課題の克服により、化石資源の使用とCO2 の排出なしに、人類はエンジニアリングプラスチックや高付加価値ポリマーを持続的に獲得できます。

多機能不均一系触媒の開発 概要図

H24

天然多環芳香族からの単環芳香族の単離・製造技術開発

増田 隆夫 (北海道大学 大学院工学研究院 教授)

 木質系、草本系バイオマスを構成するセルロース、ヘミセルロース、リグニンを成分分離し、リグニンを中心に各成分を有用化学物質に転換する技術を開発することで、バイオマス全量資源化システム開発に繋げます。

天然多環芳香族からの単環芳香族の単離・製造技術開発 概要図

H23

固相基質分解酵素のナノバイオ設計:CO2 バイパス炭素循環

梅津 光央 (東北大学 大学院工学研究科 教授)

 非食物系のバイオマスは、水に溶解しくい固相物であり反応性にとぼしい。本研究では、この固相有機物を分解できる酵素をナノ材表面に3次元的に組織化することによって活性を飛躍的に向上させ、固相有機物から有用有機分子を低エネルギーかつ環境低負荷に生産するバイオプロセスを開発し、二酸化炭素をバイパスする炭素循環システムの構築に貢献します。

固相基質分解酵素のナノバイオ設計:CO2バイパス炭素循環 概要図

H23

イオン液体を利用したリグノセルロースリファイナリー

高橋 憲司 (金沢大学 理工研究域 教授(リサーチプロフェッサー))

 リグノセルロース系バイオマス前処理法として要求される項目として、
・樹種に依存せず、全てのバイオマスに適用可能
・前処理でヘミセルロースを消失しない
・前処理においてリグニンの構造が変性しない
事などがあります。本研究では、バイオマスを溶解可能なイオン液体を用いることにより、上記目標を達成します。また、イオン液体のリサイクルが可能となるプロセスを構築します。

イオン液体を利用したリグノセルロースリファイナリー 概要図

H22

微生物バイオマスを用いたスーパーエンジニアリングプラスチックの創出

金子 達雄 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授)

 スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)原料として理想的な構造を持つ4-アミノ桂皮酸類を大量生産する微生物の育種・生産システムを確立し、金属代替材料に匹敵する性能のバイオスーパーエンプラを開発します。さらに二酸化炭素を材料系に長期カーボンストックするための生分解リサイクル法を開発し、カーボンニュートラルをゲームチェンジングする「カーボンマイナス材料」という新概念の創出を行います。

微生物バイオマスを用いたスーパーエンジニアリングプラスチックの創出 概要図

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