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実用技術化プロジェクト

省エネルギー社会に向けた革新的軽量材料の創製

領域概要


運営総括:
原田 幸明 /
物質・材料研究機構 特命研究員

 経済のグローバル化の中で輸送機器の占める位置がどんどん大きくなってきています。その際、自動車や航空機のような移動体の重量とともに、その構成要素であるピストン等の駆動体において、構成物の軽量化設計はエネルギー効率の大幅な改善をもたらし、ひいてはCO2 の発生量削減に大きく寄与します。このような軽量化設計をもたらす最大の要素は軽量材料の採用です。しかし、軽量材料として期待されている材料の多くは相対的に時代の浅いものが多く、移動体や駆動部という厳しい使用環境の下での特性のみならず価格や加工性も含めた総合的な視点からは従来材料に対して大きな後れをとっています。

 本プロジェクトでは、今後の軽量化設計をになう軽量材料に対して、その材料のボトルネックとなっている課題に焦点を当て、その問題を解決する技術的基盤を明らかにすることで、軽量材料の社会的普及とそれを用いた軽量化設計を通じて製品の使用段階でのCO2 の削減への大きな寄与を目指しています。具体的には、マグネシウムの性能を向上させつつアルミニウムに匹敵する加工性を付与する技術、比強度、耐食性で鉄鋼を大きくしのぎながら製錬技術の制約で高価格となっているチタンの新しい精錬技術、セラミックス材料の宿命とも言われる破壊亀裂進展に対する自己治癒機能の付与などです。これらの挑戦的課題を解決する筋道を明確にし、軽量材料とその製造技術が2030年をめどに社会実装されるように、企業とのパートナーシップを強めながらその基礎となる研究開発を進めていきたいと思っています。


H24

軽量構造部材創製のための革新的汎用マグネシウム合金の開発

鎌土 重晴 (長岡技術科学大学 工学部 教授)

軽量構造部材創製のための革新的汎用マグネシウム合金の開発 概要図

新規開発のMg-Al-Ca-Mn系希薄合金を用いて高速押出しした新幹線モデル構体

 輸送機器の軽量化によるCO2 排出量の削減に大きく貢献するために、ナノ・ミクロ組織形成シミュレーションを駆使した合金設計コンセプトに基づいて、劇的なナノ析出物強化が可能な汎用Mg合金を設計します。さらに室温成形と優れた機械的性質を付与するために、ランダム配向した微細結晶粒の形成とナノ析出物の均一分散をさせ得るマルチスケール組織制御技術を確立し、Al合金と同様に製造・使用できる展伸用Mg合金を開発します。

H24

自己治癒機能を有する革新的セラミックスタービン材料の開発

中尾 航 (横浜国立大学 大学院工学研究院 准教授)

自己治癒機能を有する革新的セラミックスタービン材料の開発 概要図

自己治癒前後の写真(表面写真)の比較

 自己治癒機能により発現する高い機械的信頼性を有することで、ジェットエンジン部材として適用可能な自己治癒セラミックスを開発します。さらに、本材料の最大の特徴である自己治癒性により極限まで高められた損傷許容性を活用した新規設計基準を提案、確立します。我が国独自の軽量・耐熱新素材開発を行うことで、世界の航空産業の約15%のCO2 排出削減に貢献します。

H23

輻射熱反射コーティングによる革新的遮熱技術

香川 豊 (東京大学 大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 教授)

輻射熱反射コーティングによる革新的遮熱技術 概要図

次世代航空機用ガスタービンエンジンの軽量高温部材であるSiC繊維強化SiCマトリックス複合材料を最小の排熱ロスで使用するために、高温熱源からの輻射熱を高効率で反射し、かつ、高温水蒸気雰囲気で安定な耐熱コーティング技術を開発します。高温下の伝熱で支配的な熱輻射によるエネルギー(=電磁波)を効率よく反射する波長オーダーの最適積層構造を設計し、それを新たに開発する耐環境性酸化物系セラミックスによって実現します。

H22

軽量・超耐食性社会のためのチタンの新連続製造プロセス

宇田 哲也 (京都大学 大学院工学研究科 教授)

軽量・超耐食性社会のためのチタンの新連続製造プロセス 概要図

チタンをBi合金として還元し、溶体のまま排出している様子新しい連続還元法のキーポイントとなる実験結果

 耐食性に優れ、比強度が大きく、資源制約もないチタンの安価な新製造法の確立に向けて、溶媒金属を介した連続プロセスについて研究しています。これまでに、チタンを還元容器底部に配置したビスマス溶媒に生成・溶解させ、チタンを含む低融点の液体合金を連続生成させること、これを模した試料からチタン濃化領域を偏析させ、さらに蒸溜することによって、チタンを得ることに成功しています。現在は、実用化に向け応用研究を展開中です。

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