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実用技術化プロジェクト

液体水素冷却による超伝導電気機器の開発

領域概要


運営総括(PO):
大崎 博之 / 東京大学 教授

 水素を燃料やエネルギーキャリアとして利用するエネルギーシステムは、CO2 排出量の大幅な低減が期待できることから、現在様々な技術開発が進められています。本プロジェクトでは、水素を液体水素の形で極低温冷媒としても利用する、水素技術と超伝導技術を統合したエネルギー機器システムを、革新的低炭素化技術として開発します。水素タービンを利用する発電システムに適用可能な液体水素冷却超伝導発電機や、再生可能エネルギーの出力変動を抑制するエネルギー貯蔵装置として、燃料電池とSMES(SuperconductingMagnetic Energy Storage)などの超伝導エネルギー貯蔵を組み合わせた電力系統制御システムなど、液体水素冷却超伝導電力機器は、システムの高効率化と低炭素化を大きく前進させる技術として有望です。

 そこで、機器への適用が可能となる技術レベルの液体水素冷却超伝導コイルの開発を中心に、MgB2 線材やREBCO線材ベースの実用的な低コスト超伝導長尺線材の開発から、液体水素による極低温冷却技術、マグネットや回転機などの機器・システム技術の開発までを有機的に連携してプロジェクトを実施し、実用化に向けた研究開発を加速します。

JAXA能代ロケット実験場(写真)

JAXA(宇宙航空研究開発機構)が推進している大学共同利用研究の場としても活用され、京都大学と共同で液体水素の熱流動特性試験など、多数の共同研究が実施されています。

MgB2 線材コイル

パウダー・イン・チューブ法によって作製したMgB2 線材を用いて試作した小型コイル。MgB2 線材は長尺化が比較的容易であることと高額な希土類を用いていないことから実用化が有望視されています。ちなみにMgB2 が超伝導現象を示すことは2001年に日本で発見されました。


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低コストREBCO長尺線材の開発

松本 要 (九州工業大学 大学院工学研究院 教授)

 液体水素冷却による超伝導機器開発においては、超伝導工学・低温工学技術に加えて、高性能で低コストな長尺超伝導線材技術が必要です。本課題では、希土類系高温超伝導線材に人為的にナノ欠陥を導入することで77Kで高Jcを実証してきた人工ピン技術を、新たに10~30Kに適用して数10倍の線材性能向上を実現していきます。人工ピン技術を用いれば必要な超伝導膜厚を従来の数分の1にまで削減できるため、その結果として線材製造コストを大幅に削減する技術を確立します。

低コストREBCO長尺線材の開発 概要図

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高性能MgB2 長尺線材の開発

熊倉 浩明 (物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点 特命研究員)

 これまでのALCAプロジェクトにおけるMgB2 線材開発の成果に基づいて、Mg棒とB粉末を使用する簡便な内部Mg拡散法などを適用して、100m-1km級のMgB2 単芯ならびに多芯線材の開発を行います。作製した線材の構造・組織や局所的臨界電流の変動などを詳細に調べ、これを線材作製プロセスに反映させます。このようにして、液体水素温度(20K)、5Tの磁界において実用レベルの臨界電流特性を有する高性能、低コストMgB2 線材を目指します。さらに、ここで開発した長尺線材を濱島グループ、ならびに白井グループに供給します。

高性能MgB2 長尺線材の開発 概要図

断面写真(熱処理前)径: 0.88mm

高性能MgB2 長尺線材の開発 概要図

これまでに試作した鉄シース(被覆)による100m級単芯MgB2 線材(熱処理前)。今後は、これをベースに銅合金被覆の高安定度長尺MgB2 線材を開発する。

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液体水素冷却MgB2 超伝導電力機器の開発

白井 康之 (京都大学 大学院エネルギー科学研究科 教授)

 液体水素冷却超伝導機器とこれをキーとした水素・電力協調エネルギーインフラ構築による低炭素化を目的とします。液体水素の冷熱の積極的利用によって水素エネルギー導入のハードルを下げ、高性能高効率な超伝導機器の導入により複雑化する電力系統の柔軟性を高め再生可能エネルギー源の大量導入を推進します。本研究では、液体水素冷却超伝導機器・冷却システムの要素技術開発、液体水素冷却超伝導線材の特性評価、水素・電力協調エネルギーシステム導入効果検討を実施します。

液体水素冷却MgB2 超伝導電力機器の開発 概要図
液体水素冷却超伝導発電機とこれをキーとした水素・電力協調エネルギーインフラの一例

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