理事長挨拶

理事長 中村 道治
科学技術イノベーションで明るい未来を
昨年3月の東日本大震災や原子力発電所事故により、今なお不自由な生活を送っておられます被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。今年は、我が国の復興が本格化し、再生に向けて力強い一歩を踏み出す年になることを祈念します。
昨年のJSTの活動としては、大震災関連では緊急研究テーマを数多く立ち上げました。また、震災対応を契機にして関心が高まってきた社会のための科学技術への取り組みを強化し、各種シンポジウムやイベントなどを開催してきました。課題達成型基礎研究や産学連携では、エネルギー関連の研究テーマを増し、ライフサイエンスでは国際的なエピゲノム(化学修飾された遺伝子)コンソーシアムに加盟しました。並行して、先端治療、創薬、超伝導材料、先端計測、社会システムなどの分野で新しい成果を数多く得ることができました。ベンチャー事業の育成に関しては、金融機関等と連携した取り組みを開始しました。科学技術情報では関係機関との連携強化による利便性の向上、高校生たちの「科学の甲子園全国大会」に向けた取り組み、日本科学未来館の充実なども、昨年の成果でした。
人類社会は、エネルギー、環境、高齢化、貧困、食糧、資源など、多くの課題に直面しています。先月南アフリカで開催されたCOP17の議論を見ても、地球温暖化対策の難しさを再認識しました。我が国では、さらにレジリアント(災害やリスクに対し強靭な)社会の実現、先端産業の競争力強化などが問われています。これらの課題を解決して社会の持続的成長を可能にし、我が国の新成長戦略を確かなものにする上で、優れた研究開発成果を社会経済的な価値に結びつけること、すなわち科学技術イノベーションが不可欠です。このためJSTでは、今年春からスタートする新中期目標・中期計画に向けて、「科学技術イノベーションの創出」および「科学技術イノベーション基盤の形成」の観点から事業内容を見直し、「コト」を起こす取り組みを現場主義で展開したいと考えています。また、次世代を支える理系人材の育成や、社会との科学技術コミュニケーションに注力します。
科学技術イノベーションは、大学や産業界、行政などが一体となって、メリハリをつけて行う中から生まれます。JSTは、そうした産学官連携のためのイノベーション・エコシステムでの信頼されるプレーヤーとして、明るい未来の実現に向けて、職員一丸となって努力する所存です。皆様方のご理解とご協力をお願いして、年頭にあたってのご挨拶とします。
平成24年1月1日
独立行政法人 科学技術振興機構
理事長 中村 道治
