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理事長挨拶

 日本の科学技術は、いま深刻な危機に直面しています。各種のエビデンスからは、近年、わが国の科学技術の国際的地位が低下している状況がうかがえます。この傾向は知的財産においても顕在化しつつあり、早晩、産業競争力そのものに影響を及ぼすことが危惧されています。さらに高齢化の急速な進展により、将来を担う中堅・若手人口は確実に減少していきます。これらの課題に早急に手を打たなければ、日本の科学技術の未来は描けません。

 JSTは、国の科学技術基本計画を推進するため、研究開発戦略、ファンディング、地域創生、人材育成、国際協力など幅広い事業を実施しています。しかしながら、従来どおりの運営では眼下の諸課題を解決することはできません。いま私たちは、事業や運営のあり方を世界最先端のネットワーク型研究所にふさわしいものへと発展させるため、改革イニシアチブ「M口プラン」の下、組織を挙げて「変革への挑戦」に取り組んでいます。

 その具体例として、昨年、あるべき社会の実現に向けて明確な技術ターゲットを見定め、チャレンジングな研究開発を果敢に推進する「未来社会創造事業」を創設しました。今年は、これを拡充すると同時に、全ての事業をフルに活用し、わが国が直面する閉塞(へいそく)感を打破し、低落傾向を逆転させるための施策を積極的に展開してまいります。

 特に、若手研究者や女性研究者がセクターや領域を越え、自由闊達(かったつ)に活躍するのを後押しすること、徹底した国際化により世界トップレベルの知や人材をわが国に取り入れることは、わが国の科学技術のダイバーシティとコンバージェンスを強化し、活力を取り戻すために極めて重要と考えています。

 また、研究開発やイノベーション創出モデルがオープンなスタイルへと変容している中、センター・オブ・イノベーション(COI)のような先行事例を踏まえつつ、拠点をベースとした本格的かつ持続的な産学連携をさらに推し進めてまいります。

 このような取り組みを通じ、強固なイノベーションエコシステムの構築と、第5期科学技術基本計画で掲げられた「Society5.0」の実現、さらには2015年に国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献してまいります。

 皆さまのご支援をお願い申し上げます。

平成30年1月
国立研究開発法人 科学技術振興機構
理事長 濵口道成