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理事長挨拶

独立行政法人科学技術振興機構 理事長 中村 道治

わが国が第3期科学技術基本計画において、科学技術政策から科学技術イノベーション政策に舵をきって10年目の節目を迎えました。科学技術から社会経済的な価値(アウトカム)を確実に、迅速に実現し、国の持続的成長に貢献することがますます重要になっています。その中で、赤ア勇教授、天野浩教授、中村修二教授が、高効率青色発光ダイオードを発明した功績でノーベル物理学賞を受賞する快挙があり、卓越した研究成果にもとづくイノベーションの重要性を多くの人びとが身近に認識できました。

JSTは近年、低炭素・循環型社会や健康長寿社会、安全・安心・快適社会の実現に向けて、戦略的基礎研究から革新的な技術シーズを生み出し、産業化に橋渡しするという観点で数多くの実績を積み重ねてきました。また、科学技術政策のシンクタンク活動、科学技術情報事業、理数系人材育成事業、科学コミュニケーション活動などを通じて、科学技術イノベーションの総合的な推進機関として、社会的課題の解決とわが国の持続的成長に貢献してきました。今後、これらの活動を強化する中で、以下のような研究開発文化を醸成し、わが国のイノベーション力の一層の向上を図ります。

・社会的課題を解決するために、科学と社会が一緒になって新しい価値を共創する時代を迎えています。このために、目指すべきビジョンを見据えバックキャスト方式で課題を設定し、新しいシステム、サービスの開発や実現化技術の開発などの統合型研究を行う環境を整備します。この中で、自然科学と人文社会科学の連携も目指します。このような取り組みにより、イノベーションを確実なものにすると共に、わが国の産業のシステム化、サービス化や地域再生に貢献します。

・近年の情報科学技術の進展とともに、研究開発においてモデリングやシミュレーションが広く用いられるようになり、さらにビッグデータを活用したデータ駆動型科学が広がりを見せています。こうした研究開発の新しい方法論を知の創造活動に役立てます。

・次世代の科学技術イノベーション人材の育成が、わが国にとって最重要課題になっています。このために、現在検討されている大学改革と連携して、研究資金の配分機関としての若手人材育成や女性研究者の活用、研究開発マネジメント人材の育成のあり方を検討します。また、国際研究交流を促進し、国際的な価値創造連鎖の中で活躍する研究人材の育成を図ります。

明るい未来を実現するためには、科学技術イノベーションをもとにした国づくりが不可欠です。それはわれわれの叡智と努力のもとに必ず達成できると考えています。そのためJSTは、大学、研究機関、企業、社会がそれぞれの役割のもとに一体になって取り組む創造的な研究開発環境を実現します。皆様のご理解とご協力をお願いします。

独立行政法人 科学技術振興機構 
理事長 中村道治