お知らせ

平成29年10月25日

研究成果展開事業(研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP))「ステージV(NexTEP−Aタイプ)」平成28年度募集における新規課題の決定について

JST(理事長 M口 道成)は、研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP)のうち、ステージVの平成28年度募集におけるNexTEP−Aタイプ新規課題1件を次の通り決定しました。なお、6月1日付のプレスリリースでお知らせしている通りすでに1件採択しており、今回は追加での採択となります。

採択課題(1件)

課題名 開発実施企業 新技術の内容
新技術の
代表研究者
GaNパワーデバイス量産用
超低抵抗GaN再成長装置
大陽日酸株式会社 本開発は、高密度窒素ラジカル発生技術とピコ秒パルスレーザーによりGe (ゲルマニウム)を溶融させた液体金属Gaをアブレーション(昇華)することにより高い成長速度で低電気抵抗のGe-GaN(窒化ガリウム)膜を再成長できる大口径基板(4〜6インチ)対応の量産型の超低抵抗GaN再成長装置を提供する。
地球温暖化抑制のための省エネ化は、地球規模の継続的な課題であり、SiC(炭化ケイ素)およびGaN を用いたパワーデバイスは従来のSi(シリコン)と比べて、バンドギャップが広く、絶縁破壊電界が高いことから、高耐圧でありながら低損失な素子の実現を可能とし、高効率の電力変換機器を実現するためのキーデバイスとして期待されている。特にGaNについては、電子飽和速度、キャリア移動度の面でSiCより優れていることから、高速なスイッチング動作に向くため,より速いスイッチング周波数を求める用途に適している。
GaNはSiの10 倍以上の電流密度があるため、金属配線層とのコンタクト抵抗は最大の損失要因になる。ここに高濃度不純物層を再成長させることでコンタクト抵抗を大幅に削減できることがわかっている。しかしながら、十分な密度の窒素ラジカルの発生技術とGeを溶融させた液体Gaを効率よくアブレーションできる励起光源がなく、この再成長GaNを大口径基板上に均一かつ低コストで実現することがいままでは困難であり、GaNパワーデバイス普及の妨げとなっていた。 本技術は、比較的低温で高濃度不純物電極層を再成長できるため昇降温時間を短くできるため装置のスループットが極めて高くなる。また超高真空プロセスや高濃度の半導体材料ガスを使用しないため高い設備稼働率と環境負荷の少ない製造装置である。
本開発により、パワーデバイスのボリュームゾーンである200ボルト以内の中・低電圧領域のスイッチングデバイスや高周波デバイスにおけるGaNの普及が促進することが期待される。
京都工芸繊維大学
グリーンイノベーション
センター
特任教授 上田 大助

研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP)について

A−STEP(Adaptable and Seamless Technology Transfer Program through Target−Driven R&D)は、大学・公的研究機関など(以下、「大学等」※1という)で生まれた国民経済上重要な科学技術に関する研究成果を基にした実用化を目指すための研究開発フェーズを対象とする技術移転支援プログラムです。
A−STEPは、研究開発フェーズの特性に応じて、ステージTからVまでの3つのステージにより構成されています。初期段階であるステージTでは、ステージU、Vへの展開を目指すシーズ候補に対し、企業ニーズにつながるシーズとしての可能性を検証します。ステージU、Vでは、産と学の共同研究開発により、実用性検証(主にステージU)および実証試験(主にステージV)のフェーズにおける研究開発を行います。
今回募集を行ったステージVNexTEP−Aタイプは、開発リスクを伴う規模の大きい開発を支援し、実用化を後押しすることで、大学等の研究成果の企業化を目指すものです。
※1 「大学等」とは、国公私立大学、高等専門学校、国立試験研究機関、公立試験研究機関、国立研究開発法人、研究開発を行っている特殊法人、独立行政法人、公益法人等(非課税の法人に限る)をいいます。

★本件に関するお問い合わせ先★
産学共同開発部 大竹 利也(オオタケ トシヤ)、関谷 亮英(セキヤ アキヒデ)
Tel:03-5214-8995 Fax:03-5214-0017 E-mail:jitsuyoka@jst.go.jp

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独立行政法人 科学技術振興機構