お知らせ

平成29年2月1日

研究成果展開事業(研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP))「ステージV(NexTEP−タイプ)」平成28年度募集における新規課題の決定について

JST(理事長 M口 道成)は、研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP)のうち、ステージVの平成28年度募集におけるNexTEP−Bタイプ新規課題2件を次の通り決定しました。なお、1月11日付のプレスリリースでお知らせしている通りすでに2件採択しており、今回は追加での採択となります。

採択課題(2件)

課題名 新技術の
代表研究者
開発実施企業 新技術の内容
高効率・高純度発色を実現する有機EL発光材料 九州大学
最先端有機光エレクトロニクス研究センター
教授
安達 千波矢
株式会社
Kyulux
本新技術は、次世代有機ELディスプレイを実現する高効率、高純度発色、低コストの発光材料に関する技術である。
本開発は、主として本新技術に求められる長時間発光を実現するものである。材料ライブラリーからAIによって絞り込まれた候補材料を化学合成し、デバイス評価にて検証する。検証結果はAIにフィードバックして絞り込み精度を高め、効率的な新規発光材料探索の手法を確立し、開発目標を達成する。
本新技術を開発目標レベルとすることで、従来技術である蛍光材料やリン光材料に対する本新技術の優位性を発揮でき、今後急速な需要の伸びを見込む有機ELディスプレイ発光材料の市場を大きく取り込むことが期待される。

超低損失ナノ結晶薄帯製造装置 東北大学
金属材料研究所
教授
牧野 彰宏
株式会社
東北マグネットインスティテュート
本新技術は、超低損失ナノ結晶軟磁性薄帯の製造装置に関するものである。
電力輸送から家電製品までのあらゆる電力分野で磁気変換に伴う磁心損失(エネルギーロス)の改善が急務となっている。磁心材料は、これまでの数十年に渡り、主にケイ素鋼板が用いられきたが、省エネルギーの観点から我が国が強みとする材料革新が求められている。その中で、東北大学で開発された革新的ナノ結晶合金NANOMET®は、高飽和磁束密度と低損失を兼ね備えた特徴を持っている。
本新技術では、NANOMET®薄帯の量産製造技術を確立し、単ロール法における合金の溶解能力と冷却能力の向上を図り、ケイ素鋼板からの置き換えが可能な軟磁性材料の低コスト化を実現することによって、モータやトランスにおける消費電力の大幅な損失削減を可能とする。
本新技術により、家電用の小型モータから自動車用や工作機械用の大型モータまで幅広い応用展開が見込まれ、圧倒的な省エネ効果で日本の産業の優位性確保に大きく貢献することが期待される。

NANOMET®はNECトーキン(株)および(株)東北マグネットインスティテュートの登録商標。

研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP)について

A−STEP(Adaptable and Seamless Technology Transfer Program through Target−Driven R&D)は、大学・公的研究機関など(以下、「大学等」※1という)で生まれた国民経済上重要な科学技術に関する研究成果を基にした実用化を目指すための研究開発フェーズを対象とする技術移転支援プログラムです。
A−STEPは、研究開発フェーズの特性に応じて、ステージTからVまでの3つのステージにより構成されています。初期段階であるステージTでは、ステージU、Vへの展開を目指すシーズ候補に対し、企業ニーズにつながるシーズとしての可能性を検証します。ステージU、Vでは、産と学の共同研究開発により、実用性検証(主にステージU)および実証試験(主にステージV)のフェーズにおける研究開発を行います。
今回募集を行ったステージVNexTEP−Bタイプは、比較的規模の小さな企業(資本金10億円以下)の取り組みを支援するものです。
※1 「大学等」とは、国公私立大学、高等専門学校、国立試験研究機関、公立試験研究機関、国立研究開発法人、研究開発を行っている特殊法人、独立行政法人、公益法人等(非課税の法人に限る)をいいます。

★本件に関するお問い合わせ先★
産学共同開発部 大竹 利也(オオタケ トシヤ)、関谷 亮英(セキヤ アキヒデ)
Tel:03-5214-8995 Fax:03-5214-0017 E-mail:jitsuyoka@jst.go.jp

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