研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
機能材料
プロトタイプ
パワー半導体・多糖ナノファイバー高速研磨&鏡面化アシストシステムの開発
キーワード :  次世代パワー半導体、機械研磨、化学機械研磨、高速研磨、鏡面化、SiC、キトサンナノファイバー、研磨液
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 熊本復興支援(地域産学バリュープログラム)/シーズ育成タイプ
研究開発課題名 セルロース配合研磨液−ダイヤ/チタニア/セリア/セルロース四元複合粒子を用いたパワー半導体超平面創成材の開発/ パワー半導体・多糖ナノファイバー高速研磨&鏡面化アシスト材 ~機械研磨-化学機械研磨ワンストップ高速研磨・鏡面化システムの開発(開発期間:平成29年10月~平成30年9月/令和元年10月~令和4年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 濱田重工株式会社 研究者 永岡 昭二(熊本県産業技術センター)

キトサンを用いて、次世代パワー半導体SiCウエハを連続で高速研磨から鏡面化が可能なシステムの開発を行った。下記の二つの優れた成果を得た。
【成果1】鋳鉄定盤を用いた機械研磨において、キトサンナノファイバーによる超高速研磨液はSiCウエハに対して、研磨レート16μm/hを発現した。従来の研磨液の3倍程度の高速研磨を達成した。
【成果2】プラスチック製定盤のSiCウエハ高速研磨・鏡面化システムを構築した。キトサン/Dia複合粒子を新たに開発し、プラスチック製定盤とセットで研磨を行うと、高速研磨から0.1nmオーダーの鏡面化まで、連続研磨を行うことができ、従来の工程を1/3に短縮化、ランニングコストを合わせたトータルのコストを1/10に低減化するシステムを構築した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

次世代パワー半導体の2030年の世界市場は5.3兆円を超えるといわれる。本技術は、次世代パワー半導体SiCウエハを連続で高速研磨から鏡面化ができる研磨システムであり、従来の工程を1/3に短縮化、ランニングコストを合わせたトータルのコストを1/10に低減化できる。さらに多糖類を用いた研磨液であるため、昨今、いろいろな局面で注目されているSDGsにも合致する。研磨薬剤、表面加工、研磨材、化学機械研磨スラリーの半導体研磨プロセス全体に関わり、市場の一部を獲得できると予測している。

開発者の声

熊本県産業技術センターに熊本大学から常駐で学生を派遣していただき、定期的に検討会を行いながら、研究開発を進めた。2年次にコロナ禍で学生の派遣ができなくなった時期もあったが、長年、培ってきた産学官の独自技術、微粒子材料技術をパワー半導体研磨材に応用できた。開発した複合粒子の研磨能を濱田重工(株)で工場内で直接、評価できたのは、産学官連携の成功事例として大きな意義がある。今後、これら複合粒子を使った新たなジャンルへの挑戦も検討する。


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