研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
機能材料
プロトタイプ
不純物とされるユビキタス元素の積極活用により高強靭性チタンボルトを開発
キーワード :  高強度チタン素材、ユビキタス元素、固溶強化、粉末冶金、移動体用ボルト、プロトタイプ設備
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) シーズ育成タイプ
研究開発課題名 ユビキタス元素によるナノ構造制御を活用した高信頼性ボルト向け高強靱性チタン素材の開発(平成27年12月~平成31年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 株式会社ハイレックスコーポレーション 研究者 近藤 勝義(大阪大学)

急激な延性低下を生じることから添加量を厳しく制限されてきた酸素・窒素などのユビキタス元素を強化元素として積極活用することで、従来のチタン合金が直面していた強度と延性の相反関係を解決し、移動体ボルト向けに高強靭性チタン焼結材を開発した。大阪大学においてチタン材の塑性変形挙動に及ぼすこれらの不純物元素機能を解明し、チタン格子定数c/a軸比を1.593以下に制御することで引張強度1150MPa、破断伸び21%を実現した。同シーズを企業に技術移転して最長2,740mmの長尺丸棒の製造技術基盤を確立し、長尺方向バラツキ3σは強度で26.4MPa、伸びで2.7%と安定化を達成した。さらに国内ボルトメーカーと協力して優れた加工性と耐久性を有するチタンボルトを開発し、事業化への見通しを得た。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

高価なレアメタル元素を含まず、ありふれた廉価なユビキタス元素のみの添加により現行チタン材にない高強度と高延性を両立できることから、自動車、航空機、医療分野など幅広い市場への展開と技術革新が期待できる。まずは自転車・レーシングカー市場で実用化を狙い、応用として2兆円を超える市場規模を有する航空機部品などへの展開を目指す。

開発者の声

素材製造という新ビジネス領域への参入であったが、開発初期コストという参入障壁に対して、A-STEPの支援によりプロトタイプ用製造設備の導入が実現でき、事業化への見通しを得られた。またA-STEPを通じて大阪大学との連携を強化し、早期の技術移転が実現した。航空機部材などより大きな市場への展開も見据えて開発を進めていきたい。


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