第4回JST20周年記念シンポジウム開催レポート 高校生によるスピーチ
高校生によるスピーチ「私達がえがく復興の未来」
- ■登壇高校:
- 岩手県立盛岡第三高等学校
玉木 穂香(3年) - 福島県立安積黎明高等学校
渡邊 侑己(2年) - 福島県立福島高等学校
安斎 彩季(3年) - 福島県立ふたば未来学園高等学校
日下 雄太(2年) - 宮城県古川黎明高等学校
須田 佳小里(3年) - ■モデレータ:
- 福島大学総合教育研究センター教授
岡田 努 - 福島大学附属小学校教諭
加藤 怜 - (50音順・敬称略)
今回のシンポジウムでとりわけ秀逸だったのは、5人の高校生。震災当時に小学生だった経験を踏まえ、復興にかける決意、思いを率直に語り、会場の参加者の共感を得るとともに、復興に関わる幅広い市民との連帯を深める優れた問題提起となった。
モデレータは小中学校や高校の生徒、大学の学生たちの復興にかける思いを探ってきた福島大学の岡田努教授、小学校で復興をテーマに授業を行ってきた福島大学附属小学校の加藤怜教諭のお二人。
最初に登壇した宮城県古川黎明高校の須田佳小里さんは、復興とは何かと問いかけ「被災者一人一人に答えはある」と自分自身の復興をテーマに語った。さらに、人々は互いに助け合って生きている。世界中に助けてくれる人がいることに気がついたと、復興に取り組む中で自分の世界が広がったことを明らかにした。
福島県立ふたば未来学園高校の日下雄太さんは、「謝って済むことと思うか」と入学して始めた演劇での台詞から入り、復興後の未来への思いに共感を求めた。それを踏まえ、原発事故を過去のものとするため、福島県の浜通りをモデルケースとする復興への決意を示し、未来創造型探求を継続する決意を表明した。
福島県立安積黎明高校の渡邊侑己さんは、さまざまな物質を吸着する性質を持つゼオライトについて語った。ゼオライトは結晶構造中に物質を取り込んで離さない。その機能を高めるために「カニの甲羅などに含まれるキトサンと結合(化学修飾)する研究」を紹介、復興を妨げる除染への科学技術面からの貢献を語った。
福島県立福島高校の安斎彩季さんは、福島の主要産業である果実や米の風評被害を取り上げた。放射性物質が出荷基準値を超えていないにも関わらず、消費者の信頼が今一つという現状から、生産者と消費者をつなぐために高校生ができることを模索。見える信頼をテーマに“郡山ブランド”の構築を提唱している。
最後に登壇した岩手県立盛岡第三高校の玉木穂香さんは、3・11の夜にラジオから流れた近親者の安否を心配する被災者の声を紹介し「夢が消えた時からが復興の始まり」との思いを語った。さらに「科学技術が何をしてきたのか」と原発を問い、「科学技術を盲信せず、知識を求めて吸収する」自分に触れた。
5人の高校生の真摯な発言は、参加者に深い感銘を与えた。多くの聴衆は復興にかける若い人たちの強い決意の言葉を、共感とともに温かく受け止めていた。
岩手県立盛岡第三高等学校
玉木 穂香(3年)
福島県立安積黎明高等学校
渡邊 侑己(2年)
福島県立福島高等学校
安斎 彩季(3年)
福島県立ふたば未来学園高等学校
日下 雄太(2年)
宮城県古川黎明高等学校
須田 佳小里(3年)