第3回JST20周年記念シンポジウム開催レポート 基調講演

大阪大学 総長
西尾 章治郎氏

「University4.0への始動-Opennessを基調とする大阪大学ビジョン-」

 西尾総長は、“研究者の立場から”として、「JSTのERATO、さきがけ、CRESTの三つのプロジェクトは、わが国科学技術研究の振興策として極めて高く評価されるものである」と強調した。


大阪大学 総長 西尾 章治郎氏
大阪大学 総長
西尾 章治郎氏

 研究活動においては、基礎、応用、開発のいずれをとっても選択と集中が重視される。三つのプロジェクトが支援した研究が、イノベーションの創出に果たした役割の大きさは測り知れない。
 西尾総長が例示したのは、ERATOの柳田敏雄氏による柳田生体運動子プロジェクト、さきがけの安西裕一郎氏による“情報と知”プロジェクト、CRESTの岸本忠三氏をリーダーとする“免疫”プロジェクトの3つ。
 「柳田生体運動子プロジェクトは、学外に大型プロジェクトを推進する拠点を持てたことが、成功につながった。“情報と知”プロジェクトはその後の情報科学分野を支える多数の人材育成に貢献し、領域のカベを越えたネットワークの形成を促した。“免疫”プロジェクトはノーベル賞の京都大学・山中伸弥教授らを研究代表者に採択することによって地道な基礎研究の重要性を明示した」と指摘する。

 そして、大学の未来について、「大阪大学は2021年に創立90周年を迎える。これを機に、Opennessを基調とする阪大ビジョンを作成した。大学は教育を活動の柱としたUniversity1.0、そこに研究という活動をとり入れたUniversity2.0、それらに大学院での専門教育や産学連携による社会貢献を加えたUniversity3.0と、変革を重ねてきた。大阪大学は、人類が抱えるグローバルで複合的な課題を解決し、よりよき未来社会を構築する鍵は、新しい概念に基づくオープンイノベーションの推進であると考えている」と、学者らしい淡々とした語り口ながら、強い決意を披露した。
 「ものごとの仕組みとしての“知”を充実し、社会実装するための事業化、さらにそれを担う人材を輩出するためのオープンエデュケーションをはじめ、“Openness”を基調とするビジョンを掲げ、未知なる次世代モデルUniversity4.0を目指す」とした。

 メニューアイコン もどる 


第3回JST20周年記念シンポジウム



トップに戻る