第1回JST20周年記念シンポジウム開催レポート 基調講演

大日本印刷株式会社 代表取締役副社長
髙波光一氏

「変革期における人材について」

 印刷産業は電子書籍、電子広告など情報産業の変革に直面、ビジネスモデルの大変革の真っ最中。基調講演に立った大日本印刷の髙波光一代表取締役副社長が、同社が進める人材育成戦略を語った。


大日本印刷株式会社代表取締役副社長 髙波光一氏
大日本印刷株式会社 代表取締役副社長
髙波光一氏

 高度成長期の印刷業は、「顧客ニーズに応えていく受注産業として賑わっていた」が、20世紀末から21世紀にかけて成長が大きく鈍化、業界規模はほぼ三分の二に縮小した。その主な原因は、社会の成熟化と情報化で「それまでの受注モデルからの事業転換を迫られた」という。

 そこで、大日本印刷が掲げたのが“P&Iソリューション”。印刷技術(PT)と情報技術(IT)を融合させて、「社会の問題や課題を先取りする形で解決策を発見する」という戦略。「DNPは、これまで印刷技術を原点に企業活動を続けてきたが、近年は事業拡大により事業内容は大きく三分野に分かれている。本来の印刷とも言える出版商業印刷などを中心とする情報コミュニケーション分野は今や売り上げの二分の一程度。印刷技術をフィルムなどに応用した生活・産業分野をはじめ、微細印刷技術を電子機器の製造に用いるエレクトロニクス分野などに事業領域を拡げているが、今後は新たに設定した成長領域を軸に、オープンイノベーションなども積極的に取り込んで、事業創造型の研究開発を行っていきたい。」と現状の方針を紹介。

 こうした方針により、求める技術系人材の質も変化したと髙波氏。「従来は“学業成績の良い優等生タイプ”を優先して採用していたが、現在は、事業創造型で高い専門性を持つ学生、言ってみれば尖った人材を求めている。これからは、プロダクトマネージャーやプロデューサーとして事業に貢献する、高いマネジメント能力を持つ人材が欠かせない」と期待される人材像を語った。そのためには共通して求められるマインドとして、「対話を深める、自立し協働する、本気で挑戦する、幅広い視野を持つ、最後まで考え抜く、といったことができる人材が望ましい」と付け加えた。
 最後に、「企業は、今や人材の多様性を広げるために、採用や育成に多くの努力を傾けている。人材を送り出す大学・大学院側にもこうした社会環境にあることを理解してもらいたい。」と講演を締めくくった。

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