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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第4章│イノベーション創出に向けた情報基盤スの整備戦略をまとめた。それを受けて文部科学省は「統合データベースプロジェクト」を立ち上げ、中核拠点として「ライフサイエンス統合データベースセンター」を情報・システム研究機構(ROIS)に設置し、データベースの整備戦略立案、ポータルサイトの構築・運営、統合化技術の研究開発などに取り組んだ。その後、総合科学技術会議ライフサイエンスプロジェクトチームが、ライフサイエンス分野のデータベースの在り方について検討し、2009年に「統合データベースタスクフォース報告書」を取りまとめた。同報告書を基に、前述のBIRD事業や文部科学省の統合データベースプロジェクトを引き受ける形で、2011年、JSTは「バイオサイエンスデータベースセンター」(NBDC)を設置した。NBDCは、ライフサイエンスに関わるさまざまな研究機関などによって産出されたデータを容易に有効活用できるよう、データベース統合の基盤となる技術の開発に取り組み、散在するデータやデータベースを一元的に利用できる連邦型の統合データベース構築を目指している。現在までに、1国内外のデータベースの所在情報や生物種などさまざまな属性情報(メタデータ)をまとめたデータベースカタログ、2散在するデータベースを横断的に一括検索できる横断検索、3データベースの権利関係を明示し、利用者が安心してダウンロード・利用できるようにしたデータベースアーカイブ、4日本の主要プロジェクトで産出されたヒトに関するゲノム情報などを、個人情報の保護に配慮しつつ共有するためのガイドラインおよびヒトデータベースを整備・提供してきた。また、ライフサイエンス各分野の中核となる統合データベース構築を支援してきた。その成果例として、日米欧の世界3極の一員としてタンパク質構造データバンク「wwPDB」を構成しているPDBj(Protein DataBank Japan)、生命システムをつなぐ分子間相互作用ネットワークに関する情報を文献から抽出し、高品質な統合データベースとして世界中から利用されているKEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)などが挙げられる。今後は、ライフサイエンスのデータを包括的に統合利用できるように、さらなるデータベースの統合化と利用の促進に取り組み、新しい医薬・農業・環境対応など、ライフイノベーションやグリーンイノベーションに大いに寄与し、研究成果の社会還元につながるデータベースを目指していく。NBDCの概要図プロジェクトデータベース個々のDBを使いやすく戦略の立案RDF化によるすべてのDBの統合ヒトDBカタログ植物DB横断検索目的別統合DBアーカイブポータルサイトの構築・運用バイオ関連DBの統合化の推進NBDCヒトデータベースゲノムデータバンク的DBDB統合化基盤技術の開発連邦型統合DB微生物DB糖鎖タンパク質DBを分野ごとにまとめることで使いやすくメタボローム87