ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第2部│歴史編第4章イノベーション創出に向けた情報基盤JSTは、前身である日本科学技術情報センター(JICST)が1957(昭和32)年に設立されて以来、60年にわたって科学技術情報の収集・整理・流通に取り組んできた。設立当初の国内外の科学技術文献の迅速かつ的確な提供から、国内学会誌の電子化による流通促進、研究者に関わるさまざまな情報や専門知識の提供へとサービスを随時拡大し、インターネットを通じた公開など、提供方法も高度化を進めてきた。近年は、JST内外の情報を統合し、分析した情報を提供することで、研究機関および産業界におけるイノベーションの誘発、科学技術政策や研究開発戦略の立案に貢献している。今後は、さらにオープンサイエンスの潮流を捉えて事業を展開していく。■科学技術文献情報を網羅したJOIS1956(昭和31)年に科学技術庁が設置された直後から、わが国が産業・経済を発展させるには、先進国の科学技術情報を入手し利用することが必須であると、産業界や大学などから強い要望が寄せられた。それを受けて、科学技術情報の専門機関の設立が計画され、JSTの前身である科学技術情報センター(JICST)が1957年に設立された。JICSTはわが国における科学技術情報に関する中枢的機関として、内外の科学技術情報を迅速かつ的確に提供し、わが国における科学技術の振興に寄与してきた。1958年には、まず理工学分野を中心に国内外の学協会誌(ジャーナル)、会議論文集/予稿集、企業の研究技術情報誌、公共資料などを情報源として「科学技術文献速報」を発行した。高度経済成長期に入ったわが国JST情報事業50周年記念シンポジウムにおいて、JICSTが提供する科学技術二次情報は貴重な情報源として、わが国の研究開発力の強化に貢献した。1976年からは、「科学技術文献速報」で作成した情報をオンラインで検索するシステム「JOIS(ジョイス)」の提供を開始した。JOISの開発においては電子計算機による漢字処理に成功し、大規模漢字データベースの先駆けとなった。その後もデータを拡充し日本最大級の科学技術文献データベースに発展した。機能面での拡充も継続的に行い、大型計算機による情報システムの発展を牽引する役割も果たした。JICSTは国際的な連携による情報提供にも取り組み、1987年にSTN Internationalの東京サービスセンターを開所し、STNを通して世界中の主要なデータベースを提供した。STNは、米国化学会の情報サービス部門であるCAS(Chemical Abstracts Service)が開発したオンライン検索システムをベースに、アメリカ(CAS)、ドイツ(FIZ-K:FachinformationszentrumKarlsruhe)および日本(JICST)の3サービスセンターが共同運用する国際科学技術情報ネットワークである。1990年代に入ると、米国の情報スーパーハイウェイ構想により、インターネット時代が到来し、世界中に情報通信基盤整備の機運が高まった。インターネットの目覚ましい進展と普及に伴い、情報技術も急速に進化し、海外ではデータベース検索サービスをwebに移行する進展が見られる時代になった。1997年にはJOISでもそれまでのコマンド方式による検索に加えて、webブラウザーの画面で検索するサービスを開始した。1976年にサービスを開始して以来27年間、JSTが82