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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第3章│科学技術と社会をつなぎ、人材を育成する「ICTの活用利用」を強化しつつ、時代によって求められる能力にフレキシブルに対応し、またダイバーシティ拡大にも力を入れつつ取り組みを進めていく。■将来の科学技術系人材の育成を目指すスーパーサイエンスハイスクールスーパーサイエンスハイスクール(SSH)は、文部科学省が指定する先進的な理数学習に取り組む高等学校および中高一貫教育校を対象とし、学習指導要領の枠を超え理科・数学に重点を置いたカリキュラムの開発・実践、課題研究の推進、高大連携・接続、国際性の育成などの取り組みを通じて、創造性豊かで、国際的にも活躍することが期待される科学技術系人材を育成することを目指している。2002(平成14)年度の創設時には26校が指定され、指定期間は3年であったが、2005年度からはその取り組みを強化し、指定期間を5年間とした。指定校数も増加し、2007年度に100校、2013年度に200校を超えた。2016年現在の指定校数は200校となっている。また、2008年には地域における拠点的な活動を推進する枠組み(重点枠)を設け、14校を指定した。重点枠も形を変えつつ継続しており、2016年の時点では、科学技術系人材育成重点枠として17校が指定され、地域の中核拠点として、科学技術系人材育成に関わる取り組みを推進している。こうした取り組みを通じて具体的な成果も出ている。2015年にはSSHの生徒が大学のみならず、国内外の高等学校と連携して研究開発を実施し、その成果が海外論文誌に掲載された。また、日本学生科学賞や高校生科学技術チャレンジ(JSEC)といった課題研究のコンテストでも、最終審査に進んだ研究のうちSSH校の占める割合は、増加傾向にある。また、生徒の進路選択にも影響を与えており、SSH校の生徒の理系進路進学実績、大学院への進学への意欲は、一般の高等学校の平均値に比べると総じて高いものとなっている。さらに、SSHでの成果は学習指導要領の改訂にも生かされており、2009年の学習指導要領改訂では科目「理科課題研究」が新設され、また次期学習指導要領でも新たな科目「理数探求(仮称)」の新設が予定されている。第1回SSH生徒発表会最優秀校(2004年)SSH校や海外との交流を通じて国際性の育成を図る取り組みも積極的に推進されており、現在では多くの指定校が研究開発活動の一環として英語教育に取り組み、海外研修を実施し、積極的に現地の高等学校や大学と交流、合同発表会や意見交換を行うようになってきている。■国際科学技術コンテスト科学オリンピックを支援科学オリンピックをはじめとする国際科学技術コンテストは、科学技術分野に秀でた生徒がグローバルな環境で競い合うことにより、科学技術に対する意欲を高め、能力を伸ばし、世界で活躍できる人材の育成に寄与するものである。こうした科学技術コンテストの活動を支援する「国際科学技術コンテスト支援」が2004(平成16)年に開始された。コンテストを公募により選定し、実施する機関に対して、国内大会の開催や国際大会への参加などに関する支援を行っている。科学オリンピックでは、2004年の時点では日本からの国際大会への参加は数学と化学に限られていたのに対し、JSTの支援によって他の教科でも体制が強化されたことで、物理、生物学、情報、地学、地理を加えた主要7教科で国内大会の開催と国際大会への代表派遣が実現した。この間、各科学オリンピックの国内大会への参加者数は順調に増加し、2015年には7教科合計で延べ1万9,000人を超えるに至っている。国際大会では、日本代表の生徒は例年ほとんどがメダルを獲得しており、2015年には金メダル8つを含め、代表生79