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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第2部│歴史編いても、子ども自らが知的好奇心や探求心を持って科学技術に親しみ、目的意識を持ちながら観察、実験、体験学習を行うことにより、科学的に調べる能力、科学的なものの見方や考え方、科学技術の基本原理を体得する科学技術学習の推進が明記された。政策的、政治的な理数学習推進に向けた機運の高まりの中、2001年に省庁再編により新たに文部科学省が創設されたことを受け、2002年には省庁再編のメリットを最大限に生かして、科学技術・理数学習に関する施策を総合的・一体的に推進する「科学技術・理科大好きプラン」が文部科学省に新たに創設された。本プランにより、先進的な理数学習を実施し、将来の国際的な科学技術系人材の育成を目指すスーパーサイエンスハイスクール(SSH)や、科学技術・理科・数学に関する観察・実験・実習等の、体験的・問題解決的な学習活動を支援するサイエンス・パートナーシップ・プログラム(SPP)が開始されることとなった。JSTは、2001年科学技術・理科教育に先進的なデジタルコンテンツを開発し、学校現場などに提供する「理科ねっとわーく」の取り組みを開始した。一方で、2003年にSSHに対する支援が、2006年にSPPがそれぞれJSTに移管されたことを機に、理数学習の推進に向けた取り組みを本格化した。2004年には、科学技術や理科・数学などに興味を持つ児童・生徒への発展的学習機会を提供し、一層の学習意欲の喚起や能力の伸長、国際的に通用する科学技術系人材の育成などを目的として、国際科学技術コンテストへの支援を開始した。また、2004年に発表されたOECDの「生徒の学習到達度調査」(PISA、第2回)で、順位・得点とも前回を大きく下回るという衝撃的な結果が報告された。そのような状況の中、2006年からの第3期科学技術基本計画では、1知的好奇心にあふれた子どもの育成、2才能ある子どもの個性・能力の伸長、の両面からの取り組みを行うことが示された。JSTは、2007年以降、学校における理数教育のさらなる充実のための「理科支援員等配置事業」「中高生の科学部活動振興」などの取り組みや、将来を担う人材の発掘、能力伸長を図る「未来の科学者養成講座」、女子中高生の理系に対する意識を醸成するための「女子中高生の理系進路選択支援」などを創設した。2011年からの第4期科学技術基本計画でも、1理数好きの子どもたちの裾野の拡大、2優れた素質を持つ児童・生徒を発掘しその才能を伸ばすための一貫した取り組みの推進、が示された。2011年には全国の科学好きな高校生が集い、競い合い、活躍できる場として「科学の甲子園」を、2013年には中学生を対象とした「科学の甲子園ジュニア」をそれぞれ開始した。2014年には、優れた素質を持つ児童生徒の発掘・才能伸長に特化した新たな取り組みとして「グローバルサイエンスキャンパス」を開始した。本制度では、将来グローバルに活躍しうる傑出した科学技術系人材の育成を目的に、大学が地域ぐるみで国際的な活動を含む高度で体系的な理数教育プログラムを開発、実施している。2015年にはSPPをはじめ、生徒・教員向けに複数あったプログラムを整理・再編し、アクティブラーニングの推進に向け、教育委員会と大学などが連携・協働し、教員と生徒が相互関係の中で主体的な学びの充実を図る「中高生の科学研究実践活動推進プログラム」を開始した。JSTは、実施体制の見直しを行いつつ事業を推進してきた。2006年には次世代人材育成に向けた理数教育充実の施策については科学技術理解増進部から分離し、新たに「理数学習支援部」を創設して事業推進の強化を図ることとした。2007年には、その役割を一層効果的に発揮するため、教育・学習の現場の実態やニーズを踏まえ、必要とされる理科教育支援の在り方を探るとともに、支援の取り組みに生かすことを目的に、「理科教育支援センター」を創設した。同センターでは、理科教育支援を行うための基本的考え方や必要な支援、理数系の才能を見いだし伸ばす仕組みなどについて、調査研究を実施してきた。その後、2012年に、次世代人材の育成に向けた調査研究、理数学習支援の取り組みの推進を一体的に行う観点から、理数学習支援部と理科教育支援センターを統合した「理数学習支援センター」を創設した。2015年からは事業の企画や実施に重点を置く観点から、理数学習支援センターを「理数学習推進部」に改組し、現在に至っている。理数学習推進部では、今後も科学的思考力や探究心などに秀でた生徒の能力をさらに伸ばす取り組みに重点を置くとともに、「社会とのつながり」「グローバル化」78