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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第3章│科学技術と社会をつなぎ、人材を育成するターを養成する講座が複数開始され、NPO等各種団体、企業などにおいてもさまざまな取り組みが行われるようになった。これらを一過性のものに終わらせず、わが国の科学と社会の健全な発展に資するものにしていくため、活動全体の基盤として、サイエンスアゴラが創設された。これまでのサイエンスアゴラ発展の歴史を振り返ると、大きく三つのフェーズに分けられる。第一のフェーズは「草創期」。科学コミュニケーションの理念およびサイエンスアゴラを社会に認知してもらう努力をした時期である。創設時の2006年は、全国各地で個別に活動する団体や個人の結集を目指すとともに、企画を広く公募し、審査によって決定するシステムを確立した。科学コミュニケーション関係者の結集にとどまらず、科学技術政策担当者、研究者、企業関係者、NPO、個人、家族連れの縦軸のつながりと、全国各地で活動する科学コミュニケーターたちが結集する横軸のつながりとが交差する広場の創出を目標に掲げて、参加者の多様化に取り組み、1,500~2,000人が参加した。その後、国際化等にも取り組みつつ、2009年は開催期間を4日間に増やし、参加者数は8,705人にまで増加した(2010年以降は3日間開催)。第二のフェーズは「第1次変革期」。参加者の多様性を高めようと努力をした時期である。2010年には通年活動化と地方開催を志向した大阪と東京でのミニアゴラの試行や、企画委員を公募するなど組織のオープン化を図り、翌2011年には東日本大震災を経て、科学技術への信頼を高め、よりよい社会づくりと科学技術の使命を考える場として、サイエンスアゴラの役割を再確認した。第三のフェーズは「第2次変革期」。科学者や科学コミュニティのさらなる参画を呼びかける局面にきており、これは2016年の現在も進行中である。2015年には、サイエンスアゴラのグランドビジョンを「つくろう、科学とともにある社会」とし、ビジョンを体現する活動の要件を明確化した。また、2010年に試行した通年化に向けた企画を再度見直し、秋にお台場地域で行うイベントを年次総会と位置付け、サイエンスアゴラの通年化と全国各地の活動との接続に向けて準備を開始。年次総会を、よりよい社会をつくるために、多様なステークホルダーとの対話・協働(共創)を促進していく場として明確化サイエンスアゴラは10周年を迎えたした。2015年の参加者は9,145人だった。2016年からは各地の主要な科学コミュニケーション活動とサイエンスアゴラの連携促進も強化している。JSTは全国に科学コミュニケーションの場や人材を育むための支援を2007年に開始したが、現在は自治体、科学館、大学、企業などのネットワーク形成に取り組む複数年の活動の支援に重点化し、2014年からは、問題解決のために一定の関係者が集まる場づくりを誘導している。支援を通じて地域に有力な拠点が育ちつつあるが、これらの拠点をサイエンスアゴラと有機的に連携させることにより、それぞれの活動の継続性や発展性を促進することを目指している。また、サイエンスアゴラとビジョンを共有する全国の科学コミュニケーションの運営実施機関が、それぞれの課題に取り組もうとする活動を支援するため、関係者がいつでも参加し、実際に協力できる持続可能な連携や協働の枠組みをつくることを目指して取り組んでいる。■理数学習の推進と次世代の人材育成に向けて1995(平成7)年の科学技術基本法および1996年からの第1期科学技術基本計画において、科学技術の理解増進と合わせて「科学技術に関する学習の振興」が明記された。1998年に小・中学校(2002年度より実施)、1999年に高等学校(2003年度より実施)の学習指導要領が改訂され、児童・生徒の自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を育む教育への転換を目指した。また、2001年からの第2期科学技術基本計画にお77