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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第2部│歴史編■科学がわかる、世界がかわる日本科学未来館開館1996(平成8)年からの第1期科学技術基本計画では、魅力ある科学館等の整備とそのネットワークの強化、研究開発成果の公開、科学技術に関する社会の関心を高めるための議論の場の設定等が盛り込まれた。これを受けて、1998年に当時の文部省、通商産業省、科学技術庁の3省庁が合同で東京臨海副都心地区に「国際研究交流大学村」を建設することを決定し、JSTは、この大学村内に最先端の科学技術の展示、展示手法の開発、研究者の交流等を通じて、科学技術の情報を発信していく施設を整備することになった。2000年には、当時の日本学術会議会長の吉川弘之氏を委員長として、有識者による「科学技術理解増進推進拠点(仮称)総合監修委員会」を設置し、施設の在り方や展示計画、活動方針等について具体的な検討を行い、それを基に2001年7月9日、先端科学技術と人とをつなぐための拠点として、日本科学未来館を開館した。未来館の姿勢を表明しているのが、「科学がわかる世界がかわる」というスローガンである。「科学がわかる」とは、必ずしも科学を学習し、理解するということだけを意味するわけではない。最先端の科学技術という「新しい知」に触れることで、新しいものの見方と出合う。それも「科学がわかる」ことの一つである。「世界がかわる」とは、それによって周囲の世界が違って見えてくること、そして、そのことが世界をより豊かな方向に進めていく力となることを指している。一人一人が「新しい知」によって賢く生きる社会をつ日本科学未来館で行っている白川英樹先生の実験工房くろうとする未来館の姿勢が、このスローガンに込められている。その活動には、先端科学技術と社会をつなぐ科学コミュニケーターの養成や、学校や国内外の科学館との連携活動も含まれる。活動の柱は次の三つである。○科学を伝える──先端科学技術の情報発信と伝達手法の開発常設展や企画展、トークセッション、実験教室、ウェブや出版物、映像など多彩な方法を駆使して「新しい知」としての先端科学技術を伝えている。同時に、高度で専門性の高い科学技術分野に対する一般の人々の興味を喚起し、分かりやすく提示するための表現やコミュニケーションの手法開発を行っている。○人材を育てる──科学コミュニケーターの養成「科学を伝える」活動の実践を踏まえた独自の人材養成システムによって、館の内外で科学コミュニケーターを養成し、輩出している。○つながりをつくる──8つのネットワークの形成研究者・技術者、メディア、ボランティア、クラブMiraikan・来館者、行政府、学校、内外の科学館、産業界。この8つを未来館活動と社会をつなぐインターフェースと捉え、これらとのネットワークを築いている。■社会とともにある科学を目指すサイエンスアゴラ日本科学未来館科学技術理解増進事業開始から10年経った2006(平成18)年には、大学や科学館等で科学コミュニケー76