ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第3章│科学技術と社会をつなぎ、人材を育成するサイエンスチャンネルのウェブサイト究所に対象を拡大し、これを機にJSTも主催に加わった。また、著名な科学者が青少年に最先端の科学技術を紹介する「科学技術講話」を1997年から開催し、その後「科学と音楽の夕べ」として、科学と音楽の文化的融合化の試みも行った。さらに、インターネットや衛星放送等の新たなメディアを活用し、青少年をはじめとする幅広い層に科学技術コンテンツを提供して、科学技術に対する興味・関心を高める取り組みも、新たに開始した。その代表的なものが、科学技術に関するさまざまな番組を制作し、通信衛星やインターネットを通じて広く提供する「サイエンスチャンネル」である。サイエンスチャンネルは、1998年に通信衛星による試験放送を開始し、2000年に本放送を開始した。また、1999年にはインターネットによるストリーミング配信(2002年からはブロードバンド配信)を開始した。身近な製品がどのような技術を使って作られていくのかを追い、モノの成り立ちと科学技術の関わりを伝える「ザ・メイキング」や、科学技術の最新のトピックを紹介する「サイエンスニュース」等の人気シリーズが制作され、2010年からは、インターネットでの視聴に適した5分以下の短い視聴時間の番組を中心に、新たな番組制作を行っている。■科学技術理解増進から科学技術コミュニケーションへ1999(平成11)年の世界科学会議で発表された「ブダペスト宣言」で、21世紀の科学の責務として、「知識のための科学:進歩のための知識」に「平和のための科学」「開発のための科学」「社会における科学と社会のための科学」が加えられた。それを受け、2001年からの第2期科学技術基本計画に、科学技術と社会とのチャンネルの構築を行うことが明記され、JSTは科学技術と人をつなぐ拠点「日本科学未来館」を開館した。2006年からの第3期科学技術基本計画では、従来の科学技術に関する国民意識の醸成に加え、科学技術に関する説明責任と情報発信の強化、国民の科学技術への主体的な参加の促進が提起された。JSTは各地で科学コミュニケーションに関わる人・組織のネットワーク形成や活動におけるノウハウの共有を図る目的で、2006年より「サイエンスアゴラ」を開始するなど、従来の一方向の情報発信から、社会のさまざまな活動主体が双方向で情報発信・連携する科学技術コミュニケーションに活動の重点を移すこととなった。JSTでは、さまざまな実施主体との連携を強化する観点で、2009年に「科学技術理解増進部」から「科学ネットワーク部」に改組し、運営を行った。第4期科学技術基本計画では、科学技術と社会の関係がより重視されるものとなった。JSTは、新たな科学コミュニケーションへの取り組みへ向け、より長期的な視点に立って戦略的に事業を行う組織として、2012年に科学コミュニケーションセンター(CSC)を設立した。CSCは、単にこれまでの「伝える」活動だけではなく、市民、科学者、事業者、メディア、行政といったさまざまな人々が対話や協働を通じてよりよい社会や生活を「つくる」ための活動を行い、さらにはそれらを「いかす(社会に根付く)」ための取り組みを実施している。2007年に創刊された「Science Window」は、子どもたちの発する“なぜ?”を受け止め、先生や大人が一緒になって考え、楽しく学び教えていくことができる科学専門誌で、現在、全国の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校、科学館・博物館などに8万5,000冊無償配布するとともに、インターネット上での公開も行っている。75