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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第2部│歴史編第3章科学技術と社会をつなぎ、人材を育成する1996(平成8)年のJST発足と同時に創設された新たな取り組みが科学技術理解増進活動である。当初は、広く科学技術情報を提供する場の充実に取り組み、2001年にはその拠点として日本科学未来館を開館した。その後、科学技術コミュニケーションの推進へ重点を移し、「あらゆる人に開かれた科学と社会をつなぐ広場」として2006年に開始したサイエンスアゴラなどを推進している。また、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の支援や国際科学技術コンテストの支援などの理数学習の推進を通じ、次世代人材育成に向けたさまざまな取り組みを実施している。さらには、アジア各国の若者との科学技術分野の交流事業「さくらサイエンスプラン」やオープンイノベーションの中核を担うプログラムマネジャーを育成するプログラムなどの多様な取り組みも実践している。■科学技術に親しむ多様な機会を提供科学技術理解増進活動1994(平成6)年に刊行された「平成5年版科学技術白書─若者と科学技術─」では、各調査結果からわが国の若者の科学技術離れが論じられ、長期的な観点での科学技術系人材の不足や将来における国民の科学技術に対する関心低下の懸念が指摘された。その後、1995年に制定された科学技術基本法において「科学技術に関する啓発及び知識の普及」が明記され、1996年からの第1期科学技術基本計画では、「科学技術に親しむ多様な機会の提供」および「科学技術に関する理解の増進と関心の喚起」を行うことが示された。このような状況の下、JST発足時の設置法に「科学技術に関し、知識を普及し、並びに国民の関心及び理解を増進すること」が新たな業務の範囲として追加された。1996年、JSTは実施部署として科学技術理解増進室を創設し、科学技術理解増進事業を開始した。その後の取り組み強化に伴い、2000年には科学技術理解増進部に移行している。事業創設当初の柱の一つとなったのが、科学館や科学実験教室の充実、研究現場等での研究者との対話・研究開発体験など、青少年が科学技術を体験する場の充実である。そうした場となる全国各地の科学館の取り組みを支援するため、事業創設当初より、科学館における展示物のアイデア募集や試作・展示を行う取り組みを行った。2002年からは科学館と地域の学校との連携を促進する新たな展示手法やプログラム・教材の開発への支援を開始した。これらの取り組みを通じて、わが国の科学館活動の強化を推進した。事業創設時より科学実験教室の充実を図るための取り組みとして実施したのが、「サイエンス・レンジャー」である。教員・研究者等の科学技術に精通している人材をサイエンス・レンジャーとして登録し、科学館や学校等からの要請に応じて派遣し、全国各地で出前実験教室を開催した。こうした取り組みは、2001年からは地域主導の取り組みへ軸足を移し、JSTは実験教室などで活躍する科学ボランティアの活動支援を行った。科学技術庁(当時)では、1995年より所管の国立研究所9機関において、合宿形式で生徒が研究者から直接、実験・実習の指導や講義を受ける「サイエンスキャンプ」を実施しているが、1997年に他省庁の国立研サイエンス・レンジャーによる科学技術講演74