ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第2章│グローバルな研究活動を促進するが、アジア地域の若い世代の科学技術人材育成も、喫緊の課題である。日本では、JSTとAMEDが文部科学省と連携し、e-ASIA JRPが支援している研究課題を基にe-ASIA JRP参加国の研究機関から留学生を受け入れ、その研究課題へ参加しながら博士号などの学位取得を目指すことができる取り組みを開始している(国費外国人留学生e-ASIA共同研究枠)。このような仕組みが参加各国でも展開されるよう働きかけ、今後はアジア諸国から日本へだけでなく、参加各国間で多層的に可能にしていくことが重要である。■不測の事態に緊急支援J-RAPIDの活動2011(平成23)年の東日本大震災の発生後、JSTは米国国立科学財団(NSF)の緊急研究調査支援プログラム「RAPID」実施の呼びかけに応じて、NSFの支援を受けた米国の研究者が東日本大震災の被害状況などを調査・研究する際に、これに協力する日本側研究者を支援するプログラムを設立した。この新規プログラムをNSFのRAPIDにちなみ、「J-RAPID」と名付けた。研究調査対象分野は地震・津波防災、原子力・放射線安全などとした。J-RAPIDは申請から支援決定まで約1カ月というスピードと、海外研究チームとの緊密な協力を特徴としている。東日本大震災に関しては、米国に加えてその後フランス、インドネシア、英国とも共同公募を実施し、計33プロジェクトを採択して、相手国側研究者と共同の研究調査を行う日本側研究者を支援した。また、2016年4月に発生した熊本地震に対しても実施している。東日本大震災を契機に設立されたJ-RAPIDだが、このプログラムの重要性が認識されるようになると、自然災害や人的災害、感染症のアウトブレイクなど、不測の事象が発生し、緊急に研究・調査を実施する必要がある場合に、機動的にその活動を支援することを目的として、他国の災害にも対応できる恒常的なプログラムとなった。2011年に発生したタイのチャオプラヤ川流域の水害、2013年11月にフィリピンを襲った台風30号、2015年4月に発生したネパール地震に対しても各国政府機関と連携し、共同研究調査プロジェクトの支援を行った。これらのプロジェクトからは、災害の貴重なデータが取得されたり、復興計画が提言されるなど、J-RAPIDは災害後の本格的な研究プロジェクトや復興事業が実施されるまでの橋渡しとして、重要な役割を果たしている。J-RAPID左:2015年10月にネパール首都カトマンズで行われたワークショップ右:地震の被害を受けた世界遺産ダルバール広場にある建造物73