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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第2章│グローバルな研究活動を促進するた「戦略的創造研究推進事業」が2002年にスタートした。それ以降は「戦略的創造研究推進事業ICORP型研究」と称されることとなった。このころ、当初と大きく変化したことは、国が定める戦略目標に従って研究領域を設定することになったことである。ICORPやERATOの場合は、プロジェクト=研究領域であり、CREST等とは異なり、領域総括でもある研究総括が、自らも研究を実施・推進する形態である。研究員は研究総括の構想に基づいて、国内外から専門分野や出身母体の異なる研究者が参加するものとし、異なった発想や哲学に触れる環境で研究レベルを磨くとともに、国際的に活躍できる研究者に育つことが期待された。ICORP新規公募は2006年に終了したが、予算はERATOに組み込まれ、翌年の2007年からは、「ERATO-International」として両国に研究総括を置き、国際共同研究を推進することでICORPの理念は引き継がれた。さらに、ICORPは後述する戦略的国際科学技術協力推進事業(SICP)や国際科学技術共同研究推進事業(SICORP)の礎となった。前ページの写真は、飯島澄男先生を日本側の、Dr.Christian Colliexをフランス側の研究総括とした日仏共同研究「ナノチューブ状物質プロジェクト」の合同シンポジウムの際のメンバーである。ナノチューブ状物質とともに飯島先生の発見であるナノホーンは、このICORPプロジェクトでの成果である。■海外の若手研究者を育成するSTAフェローシップSTAフェローシップは、海外の若手研究者にフェローシップを授与し、日本の国立試験研究機関等での研究機会を提供する制度として、2001(平成13)年度末まで実施されていた制度である。制度の発足は1988年度で、当時の科学技術庁により創設された。このため、STAという科学技術庁の英語名の頭文字を制度名に冠している。制度発足の翌年度よりJRDCに予算が措置され、科学技術庁から制度が移管され、JSTにて継続された。JST設立の前年に策定された第1期科学技術基本計画では、「国際的な交流等の促進」に向けた方策の一つとして、「STAフェローシップを現状の340人から1,000人規模に拡充する」という数値目標が盛り込まれ、STAフェローシップを含む研究交流は業務の5本柱の1本とされた。本制度は、日本側の受入研究機関として国立試験研究機関等を対象としていたが、独立行政法人化以前の国立試験研究機関では、定員外の外国人研究者の受け入れに制約があった。このような状況において、本制度は日本の国立試験研究機関等における国際交流に大きく寄与した。制度の創設から終了までの14年間でフェローシップを授与されて研究を開始した研究者は、延べ3,678人に上った。本制度では海外から来日する研究者に対し、単に日本での研究機会を提供するにとどまらず、日本語研修や日本文化研修等の研修機会、住宅の確保等の受け入れの支援や生活相談などの付帯的なサービスも提供していた。こうした支援は研究者や同伴家族はもちろん、外国人研究者の受入体制やノウハウが十分に整っていない受入研究機関などからも、高く評価された。2000年12月、総務庁(当時)の『科学技術に関する行政監察結果に基づく勧告(第1次)』で、日本学術振興会(JSPS)の事業との重複や共通性が指摘され、その後、2001年の科学技術庁と文部省との統合に伴う事業整理により、STAフェローシップはJSPSに移管された。■外国人宿舎を建設・運営竹園ハウス・二の宮ハウス1963(昭和38)年9月の閣議了解により建設が決定二の宮ハウス69