ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第1章│科学技術イノベーションの創出新加熱プレス成形復興促進プログラムによる久慈市特産の琥珀で新成形技術を開発特に被災地の経済・産業の回復と、さらなる発展を進める施策が求められていた。マッチング促進は、被災地経済・産業の復興を目的に、新製品開発などの事業化を目指す被災地企業と、全国の大学などの共同研究開発を支援するプログラムである。各事務所に配置されたマッチングプランナーが、製造業、水産・食品加工業、農業事業者など、被災地の中小企業を中心とした幅広いニーズを掘り起こし、プログラムへの申請、研究開発開始・終了、事業化に至るまで、きめ細かな支援を行っている。事業開始から3年間で1,100件を超える相談が被災地の企業から寄せられ、そのうち676件をプログラムの申請に結びつけ、288件を採択し、2015年度までに総額約64億円の研究開発費を支援した。すでに製品化され、市場に投入された件数は80件近く(めどを含む)となり、採択した被災地企業では300人以上の雇用が創出され(2016年3月現在)、2017年度までに144.7億円の事業創出が見込まれているさらに、本プログラムが、被災地企業の研究開発意欲を高め、新製品開発への取り組みや主力業務とは異なる新事業へのチャレンジ、参入を促進するなど、大手企業の下請けが多い被災地企業の意識を変えるきっかけにもなった。■オープンイノベーションの推進へ文部科学省は、2013(平成25)年の科学技術イノベーション総合戦略および日本再生戦略を受け、2013年度から革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)を開始した。COI STREAMでは、10年後、どのように「人が変わる」のか、「社会が変わる」のかという問題意識を基に、「少子高齢化先進国としての持続性確保」 「豊かな生活環境の構築(繁栄し、尊敬される国へ)」 「活気ある持続可能な社会の構築」の三つのビジョンを設定した。JSTはこのビジョンの下に、産業界で豊富な経験を持つビジョナリーリーダーを中心とした「ビジョナリーチーム」を設け、センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムとして研究開発を推進している。COIプログラムでは、10年後のあるべき社会像(ビジョン)を実現するための研究開発課題をバックキャストの手法を用いて特定し、ハイリスクではあるが社会的インパクトの大きい異分野融合・連携型の基盤的テーマに対し、基礎研究から社会実装までを一貫して行う大規模産学連携研究チームによる研究開発を支援している。企業だけ、大学だけでは実現できない、革新的なイノベーションの創出を目指すとともに、イノベーションを連続的に創出する「イノベーションプラットフォーム」をわが国に整備することが、COIプログラムの目標である。これまでに、18拠点が設置された。また、研究開始後も、ビジョナリーリーダーの主導で研究運営の改善や研究テーマの統合・見直しを実施するという、ハイリスク研究にふさわしい研究マネジメントを実施している。2015年度には、国立研究開発法人の機能強化を支援し、グローバルな競争環境の中で優位性が発揮できるよう、また、わが国の研究力・人材力強化の中核的な拠点として必要な役割を果たすことができるよう、各国立研究開発法人の使命・役割に応じた国際的な拠点化や国内外の関係機関との連携を図る、「イノベーションハブ」の構築を推進する事業を開始した。さらに、2016年度には産業界の協力の下、新たな基幹産業の育成に向けた基礎研究や人材育成に関わる産学パートナーシップを拡大する「産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム」を開始した。本プログラムは産業界からの提案を踏まえて制度化した。基礎研究を企業・大学で共同で行う点で、わが国の産学連携の新たな姿の確立を目指している。67