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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第1章│科学技術イノベーションの創出2004年度からは、日本最大の産学マッチングイベント「イノベーション・ジャパン─大学見本市─」を開催している。2015年度は大学などから401件の技術シーズの出展があり、2日間で延べ約2万人の来場者があった。2008年度からは、産業界からも自らの技術課題・ニーズを大学などに説明する「産から学へのプレゼンテーション」を実施した。いずれの取り組みもマッチング率は25%前後と、高い成果を上げている。また、産学官連携支援人材の育成や活動推進を目指して、目利き人材育成に向けた研修プログラムを実施している。さらに、産学官連携に関わる情報を提供するポータルサイト「産学官の道しるべ」を運営し、ジャーナル・データベースの運用等の取り組みを実施している。■大学発ベンチャーの創出に向けて大学発ベンチャーは、イノベーションの原動力として、新産業の創出や産業構造の変革、大学などの研究成果の社会還元に重要な役割を担っている。わが国では、1998(平成10)年の大学技術移転促進法において、研究成果の民間事業者への移転の促進を図るための措置が講じられ、2000年には国立大学の教員が自らの成果を活用する企業などと兼業することが認められるようになった。2001年に経済産業省が「平沼プラン」を発表し、大学発ベンチャーを3年間で累計1,000社まで増加させるという政策目標を設定し、大学発ベンチャー創出に向けた取り組み強化の機運が高まった。1999年度に、JSTは大学、国公立試験研究機関などの優れた研究成果を起業化につなげるための研究開発および調査を支援する「新規事業志向型研究開発成果展開事業」(その後プレ・ベンチャー事業に改称)を開始した。後に見直しを行い、2002年に創設された「大学発ベンチャー創出支援制度」に移行した。さらに、2009年度にA-STEPに再構築し、研究シーズ自体の起業可能性検証からプレ・ベンチャー段階の事業育成、起業後の実用化検証までシームレスに推進することが可能となり、2014年度まで募集を行った。2014年度までにJSTの成果を活用して創出されたベンチャーは累積で296社であるが、そのうち155社が前述の制度により創設されたものであり、わが国の大新しい宇宙利用市場を目指した低コスト短期開発の超小型衛星学発ベンチャーの創設と発展に寄与した。わが国全体で見ると、大学発ベンチャーが担う技術は初期段階ゆえにリスクは高いものの、大学発ベンチャーに対する投資は急速に拡大しており、イノベーション加速のために、さらなる促進が求められている。この点を踏まえて制度の見直しを行い、二つの新たな取り組みを実施している。一つ目は「大学発新産業創出プログラム(START)」で、2012年度に文部科学省によって始められ、2015年度からはJSTが実施している制度である。本制度では、ベンチャーキャピタルなどの事業化ノウハウを持った事業プロモーターと研究者が一体となり、技術シーズの事業化に最適な研究開発・事業化計画を策定するとともに、市場ニーズを踏まえたプレ・ベンチャー段階の研究開発・事業育成を実施している。二つ目は、2013年に研究開発力強化法が改正され、JSTは自らの研究成果を活用する者に対し、金銭および現物での出資を行うことが可能になったことである。これを受けて、2014年度から「出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)」を開始し、JSTで支援した研究開発成果を事業展開するベンチャー企業に対する直接出資や、事業育成などに対する人的・技術的援助を実施している。25億円の規模で開始し、2015年度までの2年間で、7社へ出資した。■産学によるテーマ・分野重点型の研究開発の推進効果的にイノベーションを創出するには、テーマ分65