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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第1章│科学技術イノベーションの創出第3節│社会実装を想定した研究開発の展開社会実装を想定した大学等による研究開発の取り組みは、JSTの前身である新技術開発事業団(JRDC:その後新技術事業団に改称)の1961年設立時より継続されている。1998(平成10)年「大学等技術移転促進法」、1999年「産業活力再生特別措置法」、2002年「知的財産基本法」、2004年「国立大学法人化」などの大きな政策の転換の中、JSTはこの変化を踏まえつつ、大学等の研究成果の社会実装を考え、大学における知財の権利化・活用、企業と共同した研究成果の検討、地方創生やオープンイノベーションの加速等さまざまな取り組みを展開している。■大学等の知的財産の強化と活用促進に向けてJRDC発足時、大学・公的機関等で生み出された研究成果の普及に向け、出願された特許のライセンスを実施する「開発あっせん制度」が創設され、1967(昭和42)年には国立大学などの国有特許のあっせんをJRDCが一元化して行う「国有特許あっせん事業」が開始された。また、1979年には「有用特許制度」が創設され、主に大学などに所属する研究者(発明者)から特許を受ける権利の譲渡を受け、出願人として特許出願し、権利化する取り組みを実施してきた。JST発足後もこれらの取り組みは継続されてきたが、国立大学における発明の機関帰属化を受け、2003年度に大学などで生まれた優れた研究成果の技術移転活動を総合的に支援する「技術移転支援センター事業」を開始し、この中で、外国特許の取得に向けた特許出願支援制度を創設した。2011年度には事業名を「知財活用支援事業(外国特許出願支援)」とし、外国特許取得にかかる出願費用の支援、特許主任調査員による発明相談や特許性評価の支援を行っている(現大学等知財基盤強化支援〈権利化支援〉)。1件の原特許を外国特許出願し登録するまでには600万円程度の費用が必要となる(費用については米国、ドイツ、英国、フランスで特許登録することを想定して算出し、維持費用は含まない)。特許取得では本制度の果たす役割は大きく、大学創出の出願の約4割は本制度の支援で出願・取得されている。さらに、2014年度には、大学などが保有する未利用の知的財産権等のうち、国策上重要なものについて、実用化を見据えてJSTが有償で譲り受け、積極的にパッケージ化を進め、国内外で活動促進を図るための新たな取り組みとして、「重要知財集約活用」(現大学等知財基盤強化支援〈パッケージ化〉)を開始した。この他、大学等のライセンス可能な特許などの研究成果をインターネットに無料で公開し、企業への技術移転により研究成果の実用化を促進することを目指す研究成果展開総合データベース(現J-STORE)を2000年度より提供してきた。なお、2016年度に第5期科学技術基本計画が開始さ実施許諾の成果例光学活性アルコール類の製造方法発明者:野依良治(ERATO野依分子触媒プロジェクト)実施企業:関東化学(株)、高砂香料工業(株)他61