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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第1章│科学技術イノベーションの創出2016年に北京で開催した日中大学フェア&フォーラム貢献している。日本国内では、2014年9月に「日中大学フェア&フォーラムinイノベーション・ジャパン」として再開し、中国の大学等30機関が参加。2015年8月には31機関、200人を超える専門家が参加している。こうした交流事業を通して、JSTは、北京大学、清華大学、上海交通大学、北京交通大学、浙江大学、大連理工大学、中国科学技術大学など、中国の著名大学と包括的な覚書を締結し、今後も日中間の科学技術分野での新たな連携を目指している。2012年、JSTは「日中国民交流友好年」実行委員会(委員長米倉弘昌)より感謝状を授与された。さらに、中国教育部留学服務中心より、留学服務中心最優秀海外協力機関賞状を3年連続(2013、2014、2015年度)で受賞している。長年にわたるCRCCの実績が中国政府から高く評価された結果といえる。■明るく豊かな低炭素社会の構築を目指す低炭素社会戦略センター2009(平成21)年12月、JSTは、文部科学省が策定する研究開発戦略に基づき、わが国の経済・社会の持続的発展を伴う科学技術を基盤とする「明るく豊かな低炭素社会」の実現に貢献するため、低炭素社会戦略センター(LCS)を設置した。LCSは、2030・2050年の望ましい社会の姿を描き、その実現に至る道筋を示す社会シナリオ研究を推進し、社会シナリオ・戦略の提案を行う。具体的には、現在および将来の低炭素技術・エネルギー技術を定量化することで、その技術的な展望とともに、将来技術のコスト・二酸化炭素削減効果の定量的な評価を行い、イノベーションにつながる研究課題を明らかにするとともに、将来的にコストが下がり社会に貢献することが期待される技術・システムのシナリオ・戦略を提案している。そのため、太陽電池、蓄電池、燃料電池、バイオマス、風力発電、中小水力発電、地熱発電、二酸化炭素貯留(CCS)などの低炭素技術・エネルギーシステムの調査・分析を行い、低炭素社会実現に向けてコアとなる重要研究課題を提示してきた。2012年7月には、発足から2年間の活動を基に「低炭素社会づくりのための総合戦略とシナリオ」(社会シナリオ第1版)をまとめ発表した。また、2014年6月には「平成25年度総合編『明るく豊かな低炭素社会』の実現を目指して」(社会シナリオ第2版)を公表し、社会シナリオ研究の全体像を示した。さらに、政策立案者への積極的な発信や日本学術会議と企画した国際シンポジウムでの国内外の有識者によるわが国の再生可能エネルギー導入に関する議論・課題抽出・社会シナリオへの反映、内閣府SIPプロジェクトの要請を受けた事業連携、NEDO技術戦略研究センター(TSC)と企画した連携ワークショップ「再生可能エネルギーのコスト構造と低減に向けた方策」の開催、先端的低炭素化技術開発事業(ALCA)の「技術のボトルネック抽出」の検討への参画のほか、国・自治体・関係機関・企業へ成果を情報発信している。■社会シナリオ研究成果の発信発足以来LCSが行ってきた社会シナリオ研究は、さまざまな形で成果を上げている。そのいくつかを紹介する。東日本大震災による電力供給不足から、東京電力管内を中心に、大停電の危険性を算定・予測、地方自治体に節電を呼びかけるシステムとネットワークを開発・運用した。この「停電予防連絡ネットワーク」の取り組みは、2013(平成25)年度には、23自治体との共同研究「家庭の電力使用量見える化」の社会実験に発展している。さらに、LCSは2012年に政府のエネルギー・環境会議が公表した三つのエネルギー・環境に関する選択59