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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第2部│歴史編ALCA:技術領域の再編(2015年)太陽電池・太陽エネ利用制度改革前特別重点技術領域次世代蓄電池既存技術領域バイオテクノロジー継続集約・ボトルネック課題を公募制度改革後特別重点PJ1次世代蓄電池特別重点PJ2ホワイトバイオ実用技術化PJ1(企業との共同研究を前提)超伝道システム蓄電デバイス耐熱・リサイクル化学プロセスシステム・デバイス実用技術化PJ2(企業との共同研究を前提)……革新技術領域(革新的技術シーズを採択)課題全体のマネジメントを担う。■低炭素社会を目指すALCA産業革命以来の化石燃料大量消費の結果、大気中の二酸化炭素が増加し、地球温暖化が人類に深刻な影響を与える問題として浮上してきた。地球温暖化問題を検証している「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は2007(平成19)年に、今後数十年にわたり適切な対策を講じることを世界に求めた。2008年7月に日本政府が閣議決定した「低炭素社会づくり行動計画」および、2009年8月に文部科学省が策定した「低炭素社会づくり研究開発戦略」を背景に、「2030年頃に温室効果ガス、とりわけ二酸化炭素の排出量の大幅な削減に寄与するため、効率性や経済性を飛躍的に高める技術や現在基礎的段階にある技術の実用化を目指した先進的な技術開発を実施する」という政府・文部科学省の方針の下、JSTは2010年に先端的低炭素化技術開発事業(ALCA)を開始した。ALCAでは、低炭素社会の実現に向けて温室効果ガス排出量を大幅に削減し得る先端的な技術を開発するという戦略目標の下、創エネルギー、蓄エネルギー、省エネルギーなどの観点から電気自動車やスマートグリッドシステムのコア技術である蓄電池、バイオマス由来の機能性ポリマー、火力発電の高効率化につながる耐熱材料などの技術開発に取り組んでいる。挑戦的な課題の採択と厳格な評価による有望な課題の絞り込みを行うステージゲート評価をはじめとした従来の基礎研究型プログラムでは類を見ない方式を取り入れ、プログラムディレクターの強いリーダーシップの下で実行した結果、日本発の新型太陽電池「ぺロブスカイト型太陽電池」や次世代パワー半導体「高品質大口径窒化ガリウム結晶」などの有望な成果が創出されつつあり、さらなる加速を図っている。事業開始5年を経過した2015年には技術領域を再編し、実用技術化を目指したプロジェクト体制へ舵を切った。わが国では、2011年の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故や多くの原子力発電所の稼働停止から、火力発電への依存度が増し、二酸化炭素排出量も増大傾向にある。また、2015年秋の国連気候変動枠組条約国会議(COP21)では、米国・中国を含む196カ国により締結された「パリ協定」で、今世紀後半に世界の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「ゼロ炭素化」を目指すことがうたわれている。このような世界を取り巻く状況から、温室効果ガス排出削減技術の開発に総合的に取り組むALCAの役割は、ますます高まっている。■社会に直結する課題に挑戦しているRISTEX1999(平成11)年6月、ハンガリーのブダペストで開催された「世界科学会議」は、「科学と科学的知識の利用に関する世界宣言」(ブダペスト宣言)を発表54