ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第1章│科学技術イノベーションの創出ズとし、前半終了後に課題進捗評価を行い、その結果を受けて新たな研究体制を構築し、成果の最大化を目指す研究領域を立ち上げた。■戦略的創造研究推進事業への統合戦略的創造研究推進事業の発足は、行政改革の一環として施行された2001(平成13)年4月の独立行政法人制度の創設が背景にある。JSTは独立行政法人化に伴い、各事業の位置付けを明確にすることを強く求められた。一方で、2001年度から開始された第2期科学技術基本計画では、科学技術の戦略的重点化、基礎研究の推進、競争的研究資金の倍増(各府省の競争的資金の目的の明確化やプログラム・制度の統合・整理)がうたわれていた。これらの政策的要請を踏まえ、従来のERATO、さきがけ、CRESTの3事業を再編し、国が定める戦略目標の達成を目指したトップダウン型の戦略的な基礎研究を推進し、適切な研究マネジメントと柔軟かつ機動的な制度運営、適切な評価と透明性を確保することを目的とした「戦略的創造研究推進事業」を2002年度に創設した。従来のERATOは、新規プロジェクトから順次、同事業の総括実施型研究(ERATOタイプ)へと移行した。また、従来のさきがけは全ての研究課題が同事業の個人型研究(さきがけタイプ)へ、従来のCRESTは全ての研究課題が同事業のチーム型研究(CRESTタイプ)へと移行した。さらに、2000年度に創設された基礎的研究発展推進事業(SORST)も戦略的創造研究推進事業に移行し、ERATO、さきがけ、CRESTのうち今後の科学技術の鍵となる大きな研究成果または将来的に実用化が有望と見込まれる研究課題については研究期間を継続することにより、より一層の研究支援強化を図った(本事業は2010年度に終了)。また2010年、根岸英一先生のノーベル化学賞受賞を契機として、2012年度に研究領域「低エネルギー、低環境負荷で持続可能なものづくりのための先導的な物質変換技術の創出(先導的物質変換領域:ACT-C)」を立ち上げた。ACT-Cでは、低炭素社会の実現や、医薬品・機能性材料等の持続的かつ発展的な生産など、世界が直面している諸課題の解決に貢献しうる、触媒による先導的な物質変換技術の創出を目指して、チーム型および個人型の研究を行っている。2016年には、政府の日本再興戦略において、第4次産業革命(Society 5.0)実現の核となる人工知能技術等の研究開発に産学官で取り組むことが喫緊の課題とされ、文部科学省、経済産業省、総務省の3省を中心とした推進体制が構築された。同年、文部科学省は「AIPプロジェクト(人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト)」を立ち上げた。このAIPプロジェクトの二本柱の一つとして、JSTは、革新的な人工知能技術を中核としたイノべーションを切り開く独創的な研究者等を支援する公募プログラムを戦略的創造研究推進事業の一部として推進している。関連する複数のCRESTとさきがけ研究領域、および、さきがけよりもさらに若手の研究者を対象として新設された個人型研究(ACT-I)をAIPネットワークラボとして連携させている。これをAIPプロジェクトの研究開発拠点として新設された理化学研究所革新知能統合研究センターと一体的に運営することによってAIPプロジェクトの成果最大化を目指している。■基礎研究成果の産業利用への展開を促すACCELERATO、さきがけ、CRESTなどで生み出された研究成果を、いかに社会的・経済的価値の創出へとつなげていくかは、大きな課題である。特に近年、オープンイノベーションが提唱され、産業界から大学などの基礎研究への期待が高まっている。これを背景に、ERATO、さきがけ、CRESTなどの成果のうち、産業利用が見込まれる課題を対象に“技術的成立性の証明・提示(Proof of Concept; POC)”および適切な権利化を推進する仕組みとして「イノベーション指向のマネジメントによる先端研究の加速・深化プログラム(ACCEL)」を2013(平成25)年度に創設した。ACCELは、課題ごとに研究代表者(PI)とプログラムマネジャー(PM)を配置することが特徴で、PMは研究開発の進捗管理、成果の市場性把握や成果展開などに向けた企業との情報交換、知的財産の確保など、53