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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第1章│科学技術イノベーションの創出業に統合され、「総括実施型(ERATO)」として再スタートすることになった。再スタートに伴い、総括責任者が一貫して研究全体に責任を持つシステムは引き継がれ、総括責任者は研究総括と呼称を変えた。研究総括の選考に当たっては、2014年度から常任の選考責任者であるパネルオフィサーを置き、調査から選考までをJST職員と共に行う方式に改めた。■若手研究者の独創的発想を喚起し伸ばす「さきがけ」独創的個人研究育成事業(さきがけ)は、1991(平成3)年度に発足した。世界にさきがけた科学技術の芽を創出するため、独創的な発想を持つ優れた研究者による個人の基礎研究を推進するものであった。研究領域を設定した公募により研究者を募り、真に独創的な発想を持つ優れた研究者を厳選し、一定期間研究者個人が高い自由度を持ち研究を実施することを狙った。当時、若手研究者に年間1千万円程度を支援する制度は皆無であり、また、博士号取得後にポストを獲得していない研究者であってもJSTが直接雇用し、身分を保障するとともに人件費を支払うことができるなど、さきがけは画期的な制度であった。また、研究領域ごとに配置された研究総括が研究課題(さきがけ研究者)の選考を行うとともに、課題の採択後は助言者(メンター)としての役割を担い、さまざまな面でさきがけ研究者に指導、助言、支援を行った。その結果、さきがけ制度の下、多数の応募者の中から厳選されたさきがけ研究者は恵まれた環境で研究を行い、数多くの優れた研究成果を得ることができた。さらに、多くのさきがけ研究者はその後大学等においてポスト獲得に成功し、さきがけ制度そのものが若手研究者の登竜門の一つと見なされるようになった。さきがけのもう一つの特徴に研究領域単位で開催される合宿形式の領域会議がある。これは、研究総括、研究総括を補佐する領域アドバイザー、およびさきがけ研究者が一堂に会して合宿を行い、集中的に研究について議論を行うものである。さきがけ研究者はこの場で互いに切磋琢磨するとともに、異分野の研究者と交流を深め、人的ネットワークを構築した。さきがけはイノベーションの源泉となる成果を創出するとともに、次世代の研究リーダーとなる人材を数多く生み出した。近年では、複数の研究領域に所属するさきがけ研究者が研究領域の垣根を越えて協働の種を探すさきがけ研究者交流会の開催や、社会のニーズを意識した研究の位置付けを目的に、インタビュー形式での仮説検証に取り組むSciFoS(Science for Society)プログラムの実施など、新たな取り組みを開始している。■新産業への技術シーズ創出が期待されるCREST1991(平成3)年に起こったバブル経済崩壊の後、国は公共投資を中心に景気浮揚策をとったが、景気は一向に上向かない。そこで、先端技術を推進して、国の経済を立て直すという「科学技術基本法」が議員立法により1995年11月に施行された。ハードディスクの内部構造スピンドルディスク(プラッタ)情報を記録するパーツさきがけ「ナノと物性」で大容量化を実現したハードディスクの内部構造提供:湯浅新治アーム磁気ヘッド情報を読み書きするパーツTMR素子は読み取りに利用されている産業技術総合研究所ナノスピントロニクス研究センター長CREST「免疫難病・感染症等の先進医療技術」でヒトの皮膚細胞から生み出された人工多能性幹細胞(iPS細胞)提供:京都大学iPS細胞研究所51