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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第2章│不易流行ろあるが、その中でどれが最も決定的な要素あるいは機能なのかははっきりしない。極めて複合的な要素、機能を持つ存在になっている。研究開発も複合的にならざるを得ないし、領域を越えていかなければならないということである。CRESTに特徴的に現れているが、全く違う領域の研究者を集めて一つのテーマを与え、研究してもらうという先駆的な仕事を、JSTはしている。さらに、社会実装できるようなものを創り上げる工夫をもう一段重ねるためにどうするかという議論を、今進めている。イノベーションのシステムが変わってきた時代にふさわしい研究支援の仕組みをこれからつくり上げるに当たっては、異なる領域の方たちに集まっていただき新しい目標を与えるというJSTらしい支援の仕方が不可欠である。こうした取り組み方が「不易」であり、一方、このイノベーションの変化に合わせたマネジメントのシステム改革は「流行」であると考える。■オープンサイエンスへの対応ここ数年、ジャーナルいわゆる学術専門誌が電子化され、インターネットで読めるようになってきた。私たちが大学院生から駆け出しの研究者、助教授のころは、論文は専門誌でしか読めなかった。1カ月遅れで海外から来る雑誌は高価なものが多いので、ほとんどはコピーして読んでいた。海外の論文を読むということには非常な苦労が伴っていた。今では、自分の机の上でイン左:第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)のサイドイベント・ワークショップに登壇した濵口理事長右:署名式で握手を交わすインド科学技術省長官と濵口理事長ターネットを通じ、昨日発売されがあるため、研究者はインパクトたばかりの雑誌の情報が手に入る。ファクターの高い雑誌に論文を発大変な進歩であるが、一方で矛盾表し続けなければならないというが生まれ始めている。インター状況がある。ネット化する研究論文の維持費が一方、興味深い実態もある。名膨大になっているのである。恐ら古屋大学総長だったころに、ノーくインターネット化された雑誌にベル賞を受賞された日本人研究者支払うお金は86の国立大学全体の受賞論文を調べてみたことがあで、年に数百億円に上ると思われる。ほとんどが、それほどインパる。果たして、これが適正といえクトファクターが高くない国内のるかということである。これは日英文誌に掲載されていた。田中耕本だけの問題ではなく、世界中の一氏に至っては、雑誌ではなく学研究者コミュニティの共通課題に会の抄録である。研究者一人一人なりつつある。の論文の被引用数や論文の載ったさらに、多くの大手出版社は、雑誌の質というのは、一定の集団自社の発行する有名な雑誌と、その中の優秀な人材を選ぶためにはれほど有名でない雑誌をパッケーうまく機能するが、ノーベル賞のジ化して売るということをしていように時代を大きく転換させるよる。当然、購読する側のコストはうな業績を選び出すには、それほ上昇する。それでも、われわれはど力を発揮しないことが分かった。読まないわけにはいかない。また、こうした状況の中で、米国で唱雑誌の重要性を示す指標であるイえられだしたのが、オープンアクンパクトファクターが、大学や研セスである。研究者が雑誌に投稿究者個人の評価に使われるようにするときに支払わされていたお金なっている実態がある。インパクを出さなくてすむようにする。読トファクターの高い雑誌に論文をむ方も無料にする。これがオープ発表しないと、安定したポストがンアクセスの基本的な考え方であ得られなかったり、研究資金が確る。日本でオープンアクセスがき実に得られなくなったりする恐れちんとできるような環境をつくる45