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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第2章│不易流行トップである。その5分野のトップは全て中国である。一方、日本は1位どころか3位以上の分野が一つもない。また、2000年前後の5年間と直近5年間のデータを比較すると、2000年前後には日本は8分野において上位3位以内に位置していたが、直近5年間では、上位3位以内に位置する日本の分野は消滅している。さらに、日本と中国の相対順位を比較すると、この10年余りの間にほぼ全ての分野において、中国は日本を抜き去り、トップ集団に躍り出ている。ドイツの順位は2000年前後も直近5年もほとんど変化がなく、13分野で上位3位、10分野で4位を保っている。研究者も含めほとんどの日本人は、日本に勢いがあった時代の記憶のままに生きており、こうした現実を直視するのを避けているようなところがある。しかし、中国の勢いが増し、日本が下がっていく状況はますます顕著になるであろう。大学という研究の最前線にいた人間としてよく分かるのだが、原因の一つは、国立大学がかなり疲弊していることにあることは否めない。社会科学系では、学会へ出る費用がないという声を最近よく耳にする。研究者が学会に参加する費用を給料から出さないといけない。これは相当に深刻だといわざるを得ない。さらに長期的にいうと、やはり人口減少が大きく関わっている。研究力は少子化の影響が深刻である。18歳人口を見ると、2000年の頃は151万人くらいいたが、今は119万人くらいである。10年後には、さらに12万人減って、107万人台となる。2000年ころ約151万人いた18歳の人たちが、今は30歳過ぎの年代となり、今の18歳人口が10年後に研究の最前線に立つことになるが、今より大幅に減るということである。必死で働いていても、日本の研究力が確実に量的低下を来すことは必定である。十数年後、30歳過ぎの年代の人たちが少なくなったら、この傾向がさらに加速するのは当然である。つまり、今までの日本の状況とは違う、不連続ともいえる大きな構造的変化が起こっているということである。世界シェア順位1234567891011121314151617181920日本の研究状況を把握するための分析データ■データベースScopus(1996-2015)を使用。■抽出条件:出版年が2010-2015年のデータ、対象:すべての論文(レビュー論文等含む)Agricultural and Biological SciencesArts and HumanitiesBiochemistry, Genetics and Molecular BiologyBusiness, Management and AccountingChemical EngineeringChemistryComputer ScienceDecision SciencesDentistryEarth and Planetary Sciences被引用回数TOP10%論文数国際シェア米国英国ドイツフランス日本中国Economics, Econometrics and FinanceEnergyEngineeringEnvironmental ScienceHealth ProfessionsImmunology and MicrobiologyMaterials ScienceMathematicsMedicineMultidisciplinaryNeuroscienceNursingPharmacology, Toxicology and PharmaceuticsPhysics and AstronomyPsychologySocial SciencesVeterinary日本の研究状況を把握するための分析データ出典:Scopusデータベース(Elsevier社)を基にJST情報分析室で集計したもの(2016年6月14日作成)41