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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第1部│展望編第2章不易流行エビデンスに基づく戦略を立て、未来共創型イノベーションを先導する組織に科学技術振興機構理事長濵口道成2015(平成27)年10月に科学技術振興機構(JST)の理事長を拝命し、まず最初に取りかかったのは、JST改革のための濵口プランの作成であった。作成に当たっての一番基本的な私の思いは、「不易流行」である。JSTが今日に至るまで作り出してきた大きな実績については、疑うべくもない。この高い価値を守り、維持しつつ、一方で、激動し、変化しつつある現代社会に対応した組織に速やかに変えていく作業が、まさに「不易流行」である。研究者・大学コミュ濵口道成第六代理事長ニティ、政府、産業界という三つの集団を確実につないでいる組織は、日本の中ではJSTのみである。その役割を生かしつつ、時代に対応した戦略を持ち、今この激動する時代の中で、さらに高みを目指す活動が、われわれJSTに求められている。したがって、JSTの歴史を生かす「不易」だけでなく、時代に即応し戦略を深化させる「流行」も同時に重要な活動である。その鍵となる課題の一つが、イノベーションを先導する組織体としていかに変革していくかである。また、その基盤として、日本の幅広い分野やさまざまな地域の非凡な人材を発掘し、支援することが求められている。急速に進む少子高齢化により人材が先細りする中で、ビッグデータを活用して、優れた能力を持つ人を見出し、生かしていく。これがまさにJSTに課された責務と考える。■研究力低下と先細りする人的資源今、日本の科学技術は大きな転換点に直面している。それは、日本の研究力が相対的にまた確実に落ち始めていることである。客観的に見ると、相対的な評価で日本が今まで築き上げてきた世界トップレベルの位置が急速に落ち始めているのである。エルゼビア社のデータベース「Scopus」を基にJSTが分析したグラフがある。27の分野ごとに被引用回数の多い論文トップ10%の国別シェア順位を比較すると、1996(平成8)~2015年のデータでは、27分野のうち5分野を除き、全て米国が40