ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第1章│社会の変化と共に広がったJSTの役割技術立国といいながら、日本は科学技術を国力の一環としてうまく生かしていない。日本のソフトパワーを強化するという狙いもある」と、相澤氏は科学技術外交の重要性を強調する。JSTは、こうした科学技術外交重視の流れにいち早く呼応した。2008年度から「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」をスタートさせる。単なる技術支援ではなく、国際共同研究によって課題を一緒に解決しながら開発途上国の科学技術の向上と自立も支援するという、まさにその年の5月に総合科学技術会議が決定したばかりの科学技術外交強化の狙いを具現化するものだった。協力分野は、先進国、途上国共通の課題となっている環境・エネルギー、防災、感染症で、相手国の研究機関と対等の立場で共同研究を進めるのが大きな特徴である。国際協力機構(JICA)との共同事業だったことも、大きな力となった。橋の建設などハード中心、途上国への一方的な援助という形が主だった政府開発援助(ODA)の行き詰まりを感じていたJICAにとっても、やりがいのある事業となる。国際協力を通じて相手国の若い研究人材が日本の共同研究機関に滞在し、逆に日本の大学院生なども海外体験をすることで視野を広げることにつながるなど、人材育成面でも大きな成果を上げている。科学技術協力と政府開発援助を掛け合わせることで相乗効果を狙う政策は、2010年9月に南アフリSATREPS発足時、JICAとの調印式(左:緒方貞子JICA理事長右:北澤宏一理事長)カ・プレトリアで開かれた経済協ることが期待されている。力開発機構(OECD)グローバル・ 2014年に始まった日本・アジサイエンス・フォーラムのワークア青少年サイエンス交流事業(さショップでも大きな評価を得るなくらサイエンスプラン)も、アジど、国際的にも関心を集めた。ア諸国との青少年交流にとどまら国際共同研究を重視する中村道ず、国同士の友好関係の向上に大治は、e-ASIA共同研究プログラムきく貢献しつつある。この計画の実現に力を入れた。2012年6月、基盤には、2006年にCRDS内にインドネシア、タイ、フィリピン、創設され、2013年にCRDSと並ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ぶセンターとして自立した中国総ラオス、日本の8カ国が参加して、合研究交流センター(CRCC)が正式スタートにこぎつけた。アジ進めた中国との交流活動がある。ア地域に共通する課題解決を目標2006年に初めて開催した日中シに国際共同研究を公募し、採択さンポジウムや2010年に初開催しれた共同研究に必要な資金はそれた「日中大学フェア&フォーラム」ぞれ参加国が自国の研究者に提供が両国の大学に日中大学交流に対する仕組みだ。対象となる分野はする関心を年々高める役割を果た防災や感染症などSATREPSと重している。なる分野もあるが、3カ国以上がところが、民間の調査機関が実参加することで、より多様な研究施した調査結果で、日中双方で相が期待できる特徴を持つ。現在12手国が嫌いだとする答えが9割にカ国・17機関に増えている参加機上るという結果が2013年に公表さ関には、米国の国立アレルギー・れる。理事長退任後、CRCCの活感染症研究所なども参加している。動に注力している沖村憲樹は危機多国間共同研究の持つ強みが、各感を強め、「さくらサイエンスプラ国が抱えている感染症や防災などン」を立案した。当初は、年間1の地域の課題の解決に、発揮され万人の中国人の若者を短期間、日33