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概要

JST20周年記念誌JapanWay0203

第1部│展望編第1章社会の変化と共に広がったJSTの役割黒子役職能集団からイノベーション駆動機関に1996(平成8)年10月1日、科学技術振興機構(JST)の前身である特殊法人科学技術振興事業団が誕生した。これは、1957年創立の日本科学技術情報センター(JICST)と、1961年創立の新技術開発事業団(JRDC)の合併によるものである。これら二つの機関は、旧科学技術庁傘下の特殊法人で、首相官邸そばの同じビルに入っていた時期が長いという共通点を持つ。しかし、内外の科学技術文献情報を企業や大学、研究機関の研究者に提供するサービスを主要業務としてきたJICSTと、大学や国立研究機関の研究成果を企業化に結び付ける支援事業を主に行ってきたJRDCとでは、事業内容はもとより、職員の気質や労働条件も異なり、事業内容の接点、人的交流などはほとんどなく、この合併は行政改革という政治的要請によるものだった。一方、合併を機に新法人に対する要請と期待は急激に増大した。旧科学技術庁傘下の特殊法人のほとんどは、原子力、宇宙、材料、海洋、防災、各基礎研究など、いずれも事業内容が特化しているものばかりという事情もあった。内外の情勢変化に対応した新しい科学技術政策の構築に不可欠な画期的基礎研究の創出に加え、産業化への橋渡し、地域活性化、さらに国際協力の推進や国民の科学技術に対する理解の増進。こうした科学技術政策全体に関わる多様で大きな責任が、新法人に一手に課されることとなった。どちらかというと縁の下の力持ち的な役割を担ってきた職能集団が、合併を機に大きな責任を担うことになり、世界的な潮流となったイノベーションを推進する中核的機関として、どのように発展してきたか。20年の歴史を、歴代理事長の率直な思いを交えながら、たどっていく。1996年10月1日科学技術振興事業団発足(左:中川秀直科学技術庁長官右:中村守孝理事長)18